煮る、焼く、炒める、揚げるなどさまざまな調理法で楽しめる「なす」。主菜にも副菜にも使える便利な野菜なので、頻繁に食卓に上るご家庭も多いですよね。今回は、そんななすの知っているようで知らない特徴や品種、おいしい食べ方や保存方法を解説します。さらになすを使った簡単レシピもご紹介!ぜひ最後までご覧くださいね。
なすの品種について知りたい!それぞれの特徴や食べ方についても解説!
- 目次
- 「なす」はどんな野菜?
- なすにはたくさんの品種がある!
- 代表的な品種
- 伝統野菜・特産の品種
- 青なす・白なすなどその他の品種
- 海外の品種
- なすはアク抜きしなくてもよい?
- おすすめの保存方法
「なす」はどんな野菜?
「なす」とは、ナス科ナス属の一年生植物で、インドが原産の野菜です。水分を多く含み、ジューシーな食感が魅力です。日本になすが伝わったのは奈良時代といわれており、当時は「なすび」と呼ばれていたようです。現代でも地域によってこの呼び方が残っていますよね。
そんななすの旬は夏ですが、一般的な品種はハウス栽培もされており、産地を変えて通年市場に出荷されるため年間を通して食べることができるのも特徴です。
ちなみに、日本では濃い紫色をしているなすが一般的ですが、原産地であるインド周辺の東南アジアなどでは、白や緑色のものが広く流通しているのだそうです。近年は日本でもさまざまな品種のなすが栽培されるようになり、緑色や白色のものも見かけるようになりました。このあと詳しくご紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
なすにはたくさんの品種がある!
なすの品種はとても多く、日本国内では200種類ほどあるといわれています。そして、世界中では1000種類ほどの品種があるのだとか!ここからはなかでも代表的な品種のほか、近年全国のスーパーでも見かけるようになった伝統野菜や海外の品種などもご紹介します。
代表的な品種
■千両なす
日本で最もポピュラーな品種です。「中長なす」とも呼ばれ、長さは12~15cmほどの長卵型をしています。たくさんとれて作りやすいので、日本全国で栽培されています。煮る、焼く、揚げる、炒める、さらには漬物にすることもできる、万能な野菜です。
■長なす
長さが20~25cmほどの細長いなすの総称で、秋田県の「河辺長なす」、大阪府の「大阪長なす」など、在来種として栽培されてきたものが多くあります。地方によって細かく品種が分かれていて特徴も若干異なるものの、肉質は基本的にやわらかく、揚げ浸しや焼きなす、グラタンなどに向いています。
■大長なす
長なすよりもさらに細長く、その大きさは40~60cmにもなるのだとか。九州で栽培されてきた、暑さや乾燥に強い品種です。皮は固めであるものの果肉はやわらかいのが特徴。九州では焼きなすにして食べることが多いようです。
■丸なす
野球ボールのように丸い形が特徴で、東北から北陸、関西で栽培されている品種です。肉質がしっかりとしているため、一般的な千両なすのように焼きなすにするのには向いていないようです。煮崩れしにくいので、煮物や田楽にして食べるのがおすすめですよ。
■小なす
重さ10~20gで長さ8cm程度とかわいらしい大きさが特徴の小なす。形は丸いものと卵型があります。最もポピュラーな食べ方は漬物で、山形の「民田(みんでん)なす」はからし漬けで有名です。そのほかに煮物や炒め物、天ぷらなどにしてもおいしくいただけます。
■米なす
アメリカの「ブラックビューティー」というなすを日本で品種改良した、大きなサイズが特徴のなすです。千両なすや丸なすはヘタが濃い紫色をしていますが、米なすはヘタが緑色をしています。肉質はかたくしまっているので、ラタトゥイユなどの煮込み料理にするのがおすすめです。また、煮崩れしにくいため、田楽はもちろんバター炒めなどにしても形がしっかり残りますよ。
伝統野菜・特産の品種
■賀茂なす
京野菜のひとつで、丸い形をしており、直径は10cmを超える大きさです。ずっしりと重みがあり、煮崩れにくいのが特徴。歯ごたえがありつつもなめらかな食感で、甘みとコクが感じられます。京都ではみそ田楽などで提供されることが多いようですが、揚げ物や煮物にするのもおすすめです。
■泉州水なす
大阪南部の泉州地域を代表するブランド野菜で、ぷっくりと丸みを帯びた形が特徴です。皮が薄くてやわらかく、水が滴るほど水分を多く含んでいます。ほんのりと甘味のあるみずみずしさが魅力で、アクが少ないため生のまま食べることも可能です。定番の漬物のほか、サラダなどに向いていますよ。
※『泉州水なす』は「大阪泉州農業協同組合」および「いずみの農業協同組合」の登録商標又は商標です。
■熊本赤なす
宮崎県の在来品種「佐土原なす」が起源とされるなすで「熊本長なす」とも呼ばれています。熊本赤なすを品種改良した「ヒゴムラサキ」は、長さ30cm以上、重さ300g以上になるものもあるのだとか。ジューシーなので焼きなすにするのがおすすめですよ。
青なす・白なすなどその他の品種
■青なす
皮が緑色のなすの総称で、全国各地で作られています。一般的ななすは「アントシアニン」という色素により紫色をしていますが、青なすにはそのアントシアニンが含まれていないため緑色をしているのだとか。形や大きさはさまざまで「翡翠なす」や「緑なす」と呼ばれることもあるそうです。皮はしっかりとしていますが、果肉は加熱するととろりとやわらかい食感になります。田楽やグラタンなどの加熱調理に向いていますが、漬物には不向きです。
■白なす
青なす同様、アントシアニンがなくヘタは緑色をした白いなすです。元々はヨーロッパの品種で「越後白なす」や「ホワイトベル」、「味しらかわ」などがあります。揚げ物や煮物にするのがおすすめで、加熱するととろけるような食感になることから「とろなす」とも呼ばれているんですよ。
海外の品種
■ゼブラなす
イタリアなすの代表格で、皮に縞模様がある品種です。「カプリス」「フェアリーテイル」などの種類があり、それぞれ大きさや形が異なります。皮も肉質も固い傾向にあるため生食や漬物には向いていませんが、煮崩れしにくいので焼きなすにしたり、ラタトゥイユなどの煮込み料理にするとおいしくいただけますよ。
■ローザビアンカ
イタリア原産の丸なすで「ロッサビアンカ」とも呼ばれています。縦に筋が入っているのが特徴で、厚めの輪切りにしてステーキのように焼いたり、フライにしたりするのがおすすめです。この品種も漬物には向いていませんが、加熱することによってなめらかでとろけるような食感を楽しめます。
なすはアク抜きしなくてもよい?
なすにはアクがありますが、これはポリフェノールの一種で体に悪いものではないので、必ずしもアク抜きしなければならないというわけではありません。
また、加熱調理する場合は水にさらさなくてもアク特有の渋みが抑えられますよ。油を使わずに調理する場合や切ったあとすぐに調理をしないときは、渋みや変色を抑えるために水にさらしましょう。
ナスにはアクの少ない品種もあるので、仕上がりの色味を重視する場合はそういった品種を選ぶのもおすすめですよ。
おすすめの保存方法
なすを保存するときは新聞紙やペーパー、ラップなどで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
なすは冷蔵庫の冷気を当てすぎない方が長持ちするのだそう。最初で説明したように、なすの原産はインドのため暑さや湿度に強く、寒さや乾燥に弱い性質があります。一般的に5℃以下で設定されている冷蔵庫でなすを保存すると「低温障害」を起こしてしまうため、野菜室で保存し、早めに使い切りましょう。
なすのおいしい食べ方
水分の多いなすはグリルやオーブンなどで焼いたり、麻婆茄子などの炒め物にするととろっとした食感に仕上がります。さらにラタトゥイユやカレーなどの煮込み料理、また、油との相性が抜群の野菜なので天ぷらや揚げびたしなどの揚げ物にもぴったりです。水なすは手でさいて生のままみそで和えてもおいしく食べられますよ。
このあと、おすすめのレシピをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
なすで作る簡単でおいしいレシピをご紹介!
さてここからは、なすで作る簡単レシピをご紹介します。みそ炒めやなすのステーキ、南蛮漬けなど、ごはんのおかずだけでなくお酒のおつまみにもなるものまで幅広くピックアップしました。今夜の献立になすを使った料理を一品プラスしてみてはいかがでしょうか。
米ナスで野菜の和風ステーキ
米ナスをごま油で焼き、玉ねぎソースをかけたさっぱりといただける和風ステーキです。やわらかくジューシーな米ナスのおいしさが存分に楽しめる一品!副菜としてはもちろん、お酒のおつまみにもぴったりですよ!
ほっくり柔らか ナス田楽
お酒のお供に、ナス田楽はいかがでしょうか。フライパンでじっくりと焼きあげたナスと甘辛い田楽みそがよく合い、一度食べたら箸が止まらなくなるおいしさですよ。このレシピでは米ナスを使いましたが、ほかの種類のナスでもおいしく作れるのでお好みのナスで作ってみてくださいね。
米ナスのイワシチーズ焼き
ナスとイワシの組み合わせは意外に思えるかもしれませんが、実はとてもよく合うんです!このレシピでは、輪切りにした米ナスにアボカドやイワシ、トマト、チーズをのせて焼きあげました。マヨネーズとみそで味つけしているので、コク深い味わいに仕上がっています。オーブントースターで簡単に作れるのもうれしいポイントです!
米ナスと豚バラ肉の味噌炒め
ジューシーな豚バラ肉と米ナスを合わせた食べ応えのある一品!米ナスと豚バラ肉の味噌炒めをご紹介します。ニンニクの香りが食欲をそそり、ごはんとの相性も抜群ですよ。簡単に作れるメイン料理として覚えておくと重宝するレシピです。
ナスの南蛮漬け
やみつき必至!ナスの南蛮漬けのご紹介です。片栗粉をまぶしてごま油でカリッと焼いたナスに甘酢が染み込み、口に入れた瞬間旨味がジュワッと広がります。さっぱりとした味わいで、箸休めにもおすすめ!手軽に作れるので、もう一品ほしいときにも便利ですよ。ぜひ試してみてくださいね。
豆腐そぼろの麻婆ナス
ナスを使った定番料理、麻婆ナスをアレンジしました。このレシピでは乾煎りした豆腐をひき肉の代わりに使っています。甜麺醤の旨味と豆板醤の辛味のバランスが絶妙で、あっさりとしていながらもコクのある味わいを楽しめますよ。ごはんにかけてもおいしいので、サッと食事を済ませたいときにもぴったりの一品です。
ナスと長ねぎのみそ汁
手軽にナスを取り入れるなら、おみそ汁にするのがおすすめです。どこか懐かしくホッとする素朴な味わいで、とろっとした食感のナスが絶品!少ない材料ですぐに作れるので、朝ごはんにも最適ですよ。食卓にあると喜ばれるおみそ汁は、レパートリーを増やしておいて損はありません!
焼きなすのネギ塩だれがけ
長ねぎの風味とごま油の香りがふわっと広がるネギ塩だれをかけた、晩酌のお供にもぴったりな一品です。蒸し焼きにしたナスがとてもやわらかく、一口食べれば後を引くおいしさ!食べたいときにすぐに作れる、うれしいレシピです。
カリカリ油揚げたっぷり なすの香味だれ
長ネギやニンニク、生姜の風味がたまらない、なすの香味だれを作ってみましょう!油で焼いたジューシーなナスに酸味の効いた香味だれがよく合い絶品!カリッと香ばしく焼いた油揚げの食感もアクセントになって、食べ進める手が止まらなくなるおいしさです。
辛さやみつき 麻婆茄子丼
ピリ辛な味つけでごはんがどんどん進む!麻婆茄子丼はぜひお試しいただきたい一品です。材料を順番に炒めるだけと作り方はとても簡単ですが、食べ応えは抜群!そのまま食べると辛めですが、温泉卵を絡めるとまろやかな味わいに変化します。ぜひ作ってみてくださいね。
料理に合わせてなすの品種を使い分けてみよう!
今回は、なすの特徴や品種、保存方法などをはじめ、なすで作る簡単おかずレシピをご紹介しました。なすは、さまざまなジャンルの料理と相性がよい野菜です。品種によって向いている調理法が異なるので、なすを選ぶ際は今回ご紹介した特徴などを参考にしてみてくださいね。