「シュクメルリ」は、ヨーロッパのジョージアで生まれた鶏肉の煮込み料理です。日本では、牛丼チェーン店でメニューとして登場したことをきっかけに、一気に人気が広がりました。本記事では、シュクメルリの特徴や味わいのほか、シチューとの違いなどを解説します。記事後半では、シュクメルリのレシピもご紹介!ぜひチェックしてみてくださいね。
シュクメルリってどんな料理?味やシチューとの違い、レシピもご紹介!
- 目次
- シュクメルリとはどんな料理?
- シュクメルリの特徴や味わい
- シュクメルリに使われる材料
- シュクメルリの味わい
- シュクメルリとシチューの違い
- 材料の違い
- 調理法の違い
- 起源の違い
シュクメルリとはどんな料理?
シュクメルリは、ヨーロッパの最東端に位置するジョージアに古くから伝わる、鶏肉とたっぷりのニンニクを使ったクリーミーな味わいの煮込み料理です。日本で提供されるシュクメルリには、チーズやさつまいもなどが入っていることもありますが、本場のシュクメルリはとてもシンプル。表面をバターで香ばしく焼いた鶏肉を、潰したニンニクと水、塩などを合わせたもので煮て作るのだそうです。お店や家庭によっては牛乳を使ったり、フェネグリークやコリアンダーといったスパイスを加えることも多いのだとか。ジョージア国内では、家庭料理として広く愛されている料理なんですよ。
シュクメルリという料理名は、ジョージアのラチャ地方にあるシュクメリ村に由来していて「シュクメリ村の」という意味があるようです。この地方に住んでいた料理人がこの料理を考案したと言われていますが、シュクメルリが生まれたきっかけははっきりとわかっていないのだとか。
ちなみにジョージアでは「スプラ」と呼ばれる伝統的な宴会でシュクメルリを食べるという文化があるのだそうです。そのパーティーの途中、だんだんと落ち着き、中だるみしてきたタイミングでニンニクのパンチが効いたシュクメルリを「ケーツィ」と呼ばれる鍋ごと提供し、参加者の目を覚まさせるのだといいます。これを聞くとどれほどニンニクが効いているのか、気になりますね!
シュクメルリの特徴や味わい
シュクメルリの特徴は、次のような点にあります。
- たっぷりのニンニクを使用
- 水とオリーブオイルを乳化させたソースで鶏肉をじっくり煮込む
- シンプルな材料で濃厚な味わいを楽しめる
ここからは、シュクメルリに使われる材料や味の特徴について見ていきましょう。
シュクメルリに使われる材料
シュクメルリの最大の特徴は、ニンニクをたっぷり使うこと。「ニンニク好きにはたまらない料理」や「ニンニクを食べるための料理」といわれるほど、ニンニクが主役のこの料理では、1玉(約50〜60g)ものニンニクを贅沢に使います。
材料はニンニクのほか、鶏もも肉やオリーブオイル、水、塩、こしょう、バターなど、シンプルでありながらも豊かな風味を楽しめるのが魅力です。レシピによっては生クリームを使ったり、スパイスを加えることもあります。とくに日本で提供されるシュクメルリは、先ほども少し触れましたが、具材にさつまいもを使ったり、チーズを入れて作ることも多いです。
ちなみにジョージアでは、ジョージア名物であるひな鳥を一羽丸ごと使って作るのが一般的なようです。骨付き肉を使うことで、より旨味が強くなるので、用意ができたら骨付き肉を使ってつくってみてくださいね。
シュクメルリの味わい
シュクメルリの魅力は、その濃厚な味わいです。ニンニクの風味と鶏肉の旨味がソースに溶け込み、食べる人を虜にします。本場のシュクメルリのソースはサラサラとしていながらも濃厚で、しっかりと鶏もも肉に絡むのもおいしさの理由です。
たっぷりと使うニンニク、鶏もも肉の旨味、乳化したソースによって生み出される濃厚な味わいは「コクがありクセになる」と多くの人に愛されています。レシピによってはスパイスがふんわりと香り、より豊かな風味を楽しめますよ。食べるたびに深い味わいを感じられるもまた、シュクメルリの魅力です。
ちなみにこれだけのニンニクを使っているとそのあとのにおいが気になりますよね。牛乳を使うレシピであれば少し臭いが抑えられるようですが、やはり臭いは残ってしまうことが多いようです。大事なイベントがある前の日などは避けたほうがよいかもしれません。
シュクメルリとシチューの違い
シュクメルリは、一見、シチューと似ていると感じる方もいるかもしれませんが、大きく異なる料理です。以下でそれぞれの特徴を確認してみましょう。
材料の違い
シュクメルリは、主に鶏肉とたっぷりのニンニクを使います。特にニンニクは大量に使用し、これがシュクメルリならではの強く濃厚な味わいを生み出しています。
一方シチューは、鶏肉のほかにじゃがいもやにんじん、玉ねぎなどさまざまな野菜を入れて作ります。また、鶏肉だけでなくベーコンや豚肉などを使ったり、ブロッコリーやコーンを加えるなど、使用する材料の自由度が高いのも特徴です。
調理法の違い
シュクメルリの調理法は鶏肉を鉄板でしっかりと焼いてから、煮込むのが特徴です。これにより、鶏肉の表面はカリッと仕上がり、中はジューシーさを保った仕上がりになります。また、ソースの味をしっかりと鶏肉に染み込ませるために、ニンニクと一緒に煮込むのがポイントです。
シチューは、下ごしらえした具材を順番に鍋に入れて軽く炒め、じっくり煮込みます。そうすることで、肉と野菜から出る旨味がスープに溶け込み、まろやかで深い味が生み出されるのです。また、一般的にシチューは、ルーをベースに作ります。一から作る場合はバターや小麦粉、牛乳でルーを作り、簡単に作る場合は市販のシチュールーを使うことが多いです。
起源の違い
シュクメルリとシチューは、発祥にも違いがあります。シュクメルリはジョージア(旧グルジア)の伝統的な料理で、特にラチャ地方のシュクメリ村で古くから作られてきました。シンプルな材料で栄養を補う力強い料理として親しまれています。
一方でシチューは、フランスをはじめとするヨーロッパ各地で誕生し、豊富な食材を長時間かけて煮込むことで、寒い季節に体を温める家庭料理として発展してきた料理です。
シュクメルリの作り方
ここからは、シュクメルリをおうちで手軽に作れるレシピをご紹介します。
シュクメルリの材料
材料(2人前)
- 鶏もも肉 300g
- 水 50ml
- 白ワイン 50ml
- 生クリーム 70ml
- (A)すりおろしニンニク 大さじ1.5
- (A)コンソメ顆粒 小さじ2
- (A)パプリカパウダー 小さじ1/4
- (A)塩 ひとつまみ
- 有塩バター 20g
シュクメルリの簡単なレシピ
①パセリをみじん切りにして、鶏もも肉は一口大に切る
②フライパンを中火で熱したたら有塩バターを入れて溶かし、鶏もも肉を焼き色がつくまで焼く
③ ②に水、白ワイン、(A)を入れて煮る
※このとき鶏もも肉に火が通るまで、だいたい10分程度煮てください。
④鶏肉に火が通ったら、生クリームを入れてさらに中火で煮る
⑤沸騰直前で火から下ろし、器に盛り付け、パセリを散らしたら完成
【ポイント】
- このレシピでは有塩バターのみ使っていますが、オリーブオイルを使用してするとより本場の味わいに近づきます。
- 白ワインは省いても問題ありません。
- お店や家庭によって異なりますが、最後にバターを食わせてよりコクをアップさせることもあります。
- フェネグリークパウダーやコリアンダーパウダーなどを使うと本格的な味わいに仕上がります。
- お好みでフランスパンを添えて召し上がってください。
以下、動画でもご紹介しています。生クリームでじっくりと煮こんだ鶏肉はやわらかく、お子様も食べやすく仕上がりますよ。材料をそろえてぜひ作ってみてくださいね。
チキンのガーリッククリーム煮込み シュクメルリ
シュクメルリのおいしい食べ方
そのまま食べてもおいしいシュクメルリですが、食べ方によってさまざまな味わいを楽しめるんです!ここからは、シュクメルリのおいしい食べ方をご紹介します。
パンと一緒に食べる
シュクメルリの濃厚なガーリックソースは、パンにぴったり!スライスしたフランスパンやバゲットをソースにディップして食べると、旨みを余すことなく楽しめます。サラッとしていながらもコクのあるソースがパンに染み込み、じゅわっとした食感も楽しめるのでおすすめですよ。
ごはんのおかずとして食べる
日本風の献立に取り入れるなら、白いごはんと一緒に食べるのもおすすめです。シュクメルリのガーリックソースがごはんによく絡み、まるでガーリックライスのような味わいを楽しめます。
リゾットにアレンジして食べる
シュクメルリのソースが余りそうなときには、残ったスープでリゾットを作ってみましょう。ソースにごはんを加えて弱火で混ぜながら煮込むと、濃厚でリッチな味わいのリゾットが完成します。お好みでチーズを加えてもおいしくいただけますよ。
シュクメルリのレシピをご紹介
さてここからは、おうちで作れるシュクメルリのレシピをご紹介します!スキレットで作るレシピや、シュクメルリ風鍋など、鶏肉の旨みやニンニクの風味を堪能できる絶品レシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね
スキレットで作る たっぷりチーズのシュクメルリ
チーズをたっぷり加えて作るシュクメルリのレシピをご紹介します。ニンニクの風味とチーズのトロトロとしたの食感がたまらない、コクと旨みがたっぷりの一品です。スキレットで作れるので、アツアツのまま食卓に運べるのも魅力!ごはんにもパンにも合うので、さまざまな献立に役立つレシピですよ。
シュクメルリ風鍋
シュクメルリを、鍋風にアレンジしました。ひと口食べると、ニンニクの風味とチーズを加えた濃厚なソースが口の中いっぱいに広がりますよ。このレシピでは具材にさつまいもも入れているので、食べ応えも抜群ですよ!ぜひ作ってみてくださいね!
鶏むね肉の煮込み シュクメルリ風
鶏むね肉を使ったシュクメルリ風煮込みもおすすめです。淡白なあっさりとした鶏むね肉とまろやかなソースが相性抜群!このレシピでは、コリアンダーパウダーなどのスパイスも使っているので、風味豊かな味わいを楽しめます。おかずにはもちろん、お酒のおつまみにもおすすめの一品です。
おうちでシュクメルリを作ってみよう!
いかがでしたか?今回は、シュクメルリの基本情報や味わいの特徴、シチューとの違いのほか、簡単レシピなどをご紹介しました。外国の郷土料理と聞くと難しそうなイメージがありますが、シュクメルリはとてもシンプルな料理です。今回ご紹介したレシピを参考にしていただき、ぜひ挑戦してみてくださいね!