「きびなご」という魚を知っていますか?美しい銀色の体に帯模様が入った小さい魚で、鹿児島県や高知県の郷土料理としても親しまれています。今回は、そんなきびなごの味や旬の時期、おいしい食べ方について解説します。記事の後半では、きびなごを使ったおすすめレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
きびなごってどんな魚?味の特徴や旬の時期、おいしい食べ方についても解説!
- 目次
- きびなごとは?
- きびなごの旬の時期や産地は?
- きびなごのおいしい食べ方は?
- 刺身
- 天ぷら、唐揚げ
- 一夜干し
- きびなごを使ったおいしいレシピをご紹介!
- きびなごの漬け丼
きびなごとは?
「きびなご」とはニシン科の魚で、体長は成魚でも10cmと小さく、銀色の体に帯のような模様が一本入っているのが特徴です。薩摩地方の方言で帯のことを「きび」、小さな魚のことを「なご」と呼ぶことから、きびなごと呼ばれるようになったといわれています。ただ、名前の由来については諸説あり、吉備地方でよく獲れていたことからきびなごと呼ぶようになった、という説もあるのだそうです。
ちなみに、きびなごを漢字で書くと「吉備女子」や「黍魚子」と書きますが、これらは当て字なのだとか。また、呼び名は地域によっても違いがあり、九州地方では「きびな」、沖縄地方では「スルル」、西日本では「こおなご」と呼ばれることもあるんですよ。
一見すると、同じニシン科のイワシによく似ていますが、きびなごの方が細長い体型で顔がとがっています。また、イワシが青光りしているのに対し、きびなごは銀色に光っている点も大きな違いです。
気になる味わいですが、イワシのような青魚特有の風味はほぼなく、淡泊でありながらもやさしい旨味があります。身がやわらかいので、頭から尻尾まで丸ごと食べることができるのも特徴です。きびなごのおいしい食べ方もこの記事内でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
きびなごの旬の時期や産地は?
ここがポイント
生息地:インド洋、西太平洋、房総半島以南の太平洋、山陰地方以南の日本海
主な産地:鹿児島県、長崎県、高知県
旬の時期:年に2回あり 5~6月、12~2月
きびなごは、日本近海だけでなく、インド洋や西太平洋など広い範囲に生息しています。日本だと主に房総半島以南の太平洋や、山陰地方以南の日本海といった温暖な海域に分布していて、鹿児島県や長崎県、高知県が主な産地です。
きびなごの水揚げは一年を通して行われていますが、旬の時期は2回といわれています。 まずは5~6月。産卵の時期なので、子持ちのきびなごを楽しむことができます。そして、2回目の旬が産卵期ではない12~2月でこの時期のきびなごは、身が締まっていて、脂ののりもよいのだそうです。
きびなご漁には、きびなごの「走光性」という性質を利用します。走光性とは、虫や魚が持つ「光に集まる習性」のことです。きびなごは夜間にランプなどを灯すと海面が盛り上がるほど密集します。そのため、きびなごを獲るときは、海中に集魚灯という光源を取り付けた網を張り、その光に向かって泳いできたところを狙って網を巻き上げて、船に引き上げるのです。きびなご漁は、このような巻き網漁や地引き網などで行われます。
ちなみに、きびなごの寿命は約1年と短命で、孵化してから約1年の間に成熟し、産卵します。きびなごはとても繊細な魚で、きれいな水の中でしか生きることができません。さらにほんの1秒水から出すだけでもすぐに死んでしまうほどデリケートで、水族館でも長期の飼育ができた例はないのだとか。また、鮮度が非常に落ちやすいため、漁獲地以外での流通はほとんどありません。ただ、技術の発達もあり、近年は関東のスーパーなどでも稀に見かけるようになってきました。
きびなごのおいしい食べ方は?
続いて、きびなごのおいしい食べ方についてご紹介します。鮮度の落ちやすいきびなごは、獲ったらすぐ食べるのが一番おいしく「きびなごの刺身」は漁獲地である鹿児島県の郷土料理としても親しまれています。もちろん、それ以外にもさまざまな調理方法で食べられているので、以下でチェックしてみましょう。
刺身
鮮度が大事な刺身は、漁獲地だからこそ楽しめる贅沢な食べ方です。きびなごの頭を取ったら身を開き、尾や背骨を取り除きます。きびなごの身はやわらかいので、この作業は包丁を使わずに手で行うのが特徴です。そうして開いたきびなごの身を半分に折りたたみ、菊の花のように盛りつけたものを「菊花盛り」といいます。酢味噌で食べるのが一般的ですが、しょうが醤油につけたり、ねぎやみょうが、大葉、さわびといった薬味と食べてもおいしいですよ。
天ぷら、唐揚げ
片栗粉や小麦粉で衣をつけて揚げる天ぷらや唐揚げも、きびなごのおいしい食べ方の一つです。サクサクの衣とやわらかく淡白な味わいの身が相性抜群ですよ。天ぷらや唐揚げにする場合は、頭や内臓、骨などは取り除かずそのまま食べることが可能です。
一夜干し
一夜干しでは干すことで水分が抜け、きびなごの旨味が濃縮されます。やわらかさを保ちつつ程よく締まった身は、脂がのっていてとってもジューシー!そのまま焼いて、頭から尻尾まで丸ごと食べられますよ。
きびなごを使ったおいしいレシピをご紹介!
さてここからは、きびなごを使ったおいしいレシピをご紹介します。ごはんがモリモリ進む味わいの「きびなごの漬け丼」や、シンプルな「キビナゴの唐揚げ」など、絶品レシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。
きびなごの漬け丼
白だしを使って手軽に作れる、きびなごの漬け丼はいかがでしょうか。脂ののったきびなごにだしの効いた甘辛い味つけがよく染み、ごはんが止まらなくなるおいしさですよ!きびなごの帯模様を活かした盛りつけをすれば見た目もとっても華やかに仕上がります。おもてなしごはんにもおすすめの一品です。
キビナゴの唐揚げ
シンプルな味つけできびなごの旨味が引き立つ、唐揚げを作ってみましょう。薄力粉をまぶしたきびなごを揚げ、塩を振っていただきます。きびなごは頭や内臓を取り除く必要がなく、下処理の手間が少ないのもうれしいポイント!とても簡単なので、ぜひ作ってみてくださいね。
キビナゴのちらし寿司
きびなごを使ったちらし寿司のご紹介です。大葉とミョウガを混ぜ合わせたさわやかな味わいの酢飯と、クセがなくやさしい旨味のあるキビナゴが相性抜群!お好みのトッピングをプラスするのもおすすめです。新鮮なきびなごが手に入ったら、ぜひ作ってみてくださいね。
きびなご料理を作ってみよう!
今回は、きびなごの味や特徴、旬の時期、おいしい食べ方などを解説し、きびなごを使ったおすすめレシピをご紹介しました。刺身をはじめとし、揚げ物や焼き物など、いろいろなきびなごの楽しみ方がありましたね。生のきびなごは漁獲地以外では、見かける機会の少ない魚ですが、手に入れたときにはぜひさまざまな調理方法で楽しんでみてくださいね。