小さな釘のような形をしたスパイスの「クローブ」をご存じでしょうか。甘く刺激的な香りをもち、肉料理やカレー、ドリンクなどさまざまな料理に使えるスパイスなんです。この記事では、クローブの特徴や使い方をご紹介します。クローブを使ったおいしいレシピも必見ですよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
クローブってどんなスパイス?特徴や使い方について解説!
- 目次
- クローブとは?
- クローブの歴史について
- クローブはどんな香りがするスパイス?
- クローブを使ったレシピ(ホール)
- ジューシーで香ばしいフレスケスタイ
- シンガポールの屋台料理バクテー
- スパイス香る 金柑の蜂蜜煮
- クラフトコーラ
クローブとは?
クローブは、インドネシアのモルッカ諸島原産の常緑樹です。樹高は10m以上にもなり夏と冬の年2回、ピンク色の小さな花を咲かせます。そのつぼみを開花する直前に摘み取り、乾燥させたものがスパイスとして利用されるのです。
乾燥させた茶褐色のつぼみは、小さな釘のような形をしています。そのため、フランス語で釘を意味する「Clou」から「Clove」と呼ばれるようになったとされています。また、クローブには「丁子(ちょうじ)」や「丁香(ちょうこう)」という別名もありますが、これは中国語で釘を意味する「丁」という文字を当てた呼び名です。
クローブの歴史について
クローブの歴史は古く、紀元前よりインドや中国で用いられていた記録が残っているそうです。インドの伝統医療であるアーユルヴェーダでは治療薬として、中国では皇帝の前に出る前に口臭を消すために使われていたようです。
クローブの原産地であるモルッカ諸島は、香辛料が豊富に収穫されることから香料諸島(スパイス諸島)とも呼ばれます。とくにクローブはこの地でしか獲れず、大航海時代には香辛料の独占をめぐってヨーロッパ各国で激しい争いが繰り広げられていました。
16世紀初頭、まずポルトガルがモルッカ諸島に進出し、香辛料の独占権を得ます。スペイン、オランダ、イギリスがこれに続き、モルッカ諸島の占有をめぐるスパイス戦争が勃発するのです。1640年頃にはオランダが優勢となり、生産管理を支配していました。しかし、一連の争いは18世紀末にフランスによる盗木をきっかけとして終息を迎えます。フランスがクローブやナツメグの苗木を生育地から盗み出し、自国の植民地へと移植して栽培に成功したのです。栽培地の拡大とともにスパイス戦争は自然と沈静化し、モルッカ諸島には平穏が訪れました。
クローブはどんな香りがするスパイス?
クローブは、甘く濃厚な香りが特徴です。ピリッとした辛味と苦みがあるため、入れすぎないようにしましょう。ホールは茶褐色で小さな釘のような形をしています。ホールを細かくパウダー状にしたものもあります。
クローブは肉料理との相性がよく、肉の臭みを和らげる効果もあるため、ビーフシチューやポトフ、ローストポークなどによく使用されます。ホールで使用するときは、肉や玉ねぎなどの具材に切り込みを入れ、クローブを釘のように刺して香りづけをします。
クローブはカレーに入れるスパイスとしても定番で、インドの代表的なミックススパイスであるガラムマサラにも配合されています。ホールの場合はクミンなどのスパイスと一緒に油で加熱し、香りを油に移してスタータースパイスとして使います。
また、クローブはドリンクやスイーツにも使うことができます。インドのお茶であるチャイや、アメリカのホリデーシーズンに欠かせないホットアップルサイダー、クラフトコーラなどの香りづけにも使用されているんですよ。ホールのままであればシナモンなどのスパイスと一緒に煮て、飲む前に茶こしで濾して取り除きます。
焼きリンゴやクッキーなどのお菓子に使われることもありますよ。
クローブを使ったレシピ(ホール)
クローブがどんなスパイスなのかを知ったところで、クローブを使ったおいしいレシピをご紹介します。まずは、グローブをホールのまま使うレシピから。釘のような形を活かして食材に刺したり、スープに入れて煮出したりして使います。
ジューシーで香ばしいフレスケスタイ
フレスケスタイとは、デンマークの伝統的なローストポークのこと。豚の塊肉の表面に切り込みを入れて、スパイスを刺してこんがりと焼きあげました。クローブとローリエの香りが食欲をそそりますよ。おもてなしにもぴったりの一品なのでぜひお試しくださいね。
シンガポールの屋台料理バクテー
シンガポールの屋台料理であるバクテーを作ってみませんか。豚のスペアリブを干し椎茸のスープと数種類のスパイスでコトコト煮込んだ、香り高い一品です。やわらかなお肉はもちろん旨味たっぷりのスープもおいしいので、ごはんにかけてお茶漬け風にするのもおすすめですよ。
スパイス香る 金柑の蜂蜜煮
スパイスがふんわりと香る、金柑の蜂蜜煮のご紹介です。スパイスはシナモンとクローブを使い、甘みがありながら少しスパイシーな風味に。黄金色でころんとかわいらしい見た目が、おやつにぴったりです。金柑がおいしい季節にぜひ作ってみてくださいね。
クラフトコーラ
話題のクラフトコーラをご家庭で作れるレシピです。レモンとスパイスを煮出して香りを引き出し、カラメルソースと合わせれば簡単にコーラシロップを作ることができますよ。スパイスの種類や量は調整して、お好みのクラフトコーラをお楽しみくださいね。
ほっと温まるアップルサイダー
ホットアップルサイダーは、アメリカのホリデーシーズンの定番ドリンク。リンゴジュースにスパイスの香りとレモンの爽やかな風味を移した、温かみのある味わいの一品です。体の内側からほっこり温まりたい日に、ぜひお試しくださいね。
クローブを使ったレシピ(パウダー)
続いて、パウダー状にしたクローブで作るレシピのご紹介です。ホールに比べて気軽に使うことができますよ。
スパイス香る マッサマンカレー
タイ南部で食べられている、マッサマンカレーもおすすめのレシピです。市販のカレーペーストを使わなくても、カレー粉に数種類のスパイスを合わせて簡単にお作りいただけます。スパイシーですが、ナッツやココナッツミルクの甘みでまろやかな味わいの一品です。
スパイスリンゴケーキ
ちょっと大人な味わいの、スパイスリンゴケーキはいかがでしょうか。スパイスを混ぜ込んだ風味豊かな生地に、しっとりとした甘いりんごがよく合いますよ。混ぜて焼くだけで簡単に作れるので、旬のりんごでぜひお試しくださいね。
ナッツが入ったクリスマスプティング
クリスマスプティングは、イギリスの伝統的なクリスマスケーキです。ドライフルーツとナッツを入れた濃厚な生地に、スパイスと洋酒を効かせた濃厚な味わいの一品。ドライフルーツの甘みにスパイスの香りがアクセントになっていて、大人も満足できるケーキに仕上がっていますよ。
甘くて濃厚な香りが魅力!クローブを使ってみよう
クローブは甘さのあるスパイシーな香りで、肉料理やカレー、ドリンクなどさまざまな料理に使えるスパイスです。ホールでもパウダーでも同じように香りを楽しめますので、用途に合わせて使いやすい方を選んでください。ぜひご紹介したレシピをお試しいただき、芳醇なクローブの香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。