日本各地にはいろいろな「郷土料理」がありますが、そもそも郷土料理とはどんなものか知っていますか?この記事では、郷土料理の由来や歴史、各地域の郷土料理の特徴について解説します。記事の後半では、北海道の石狩鍋や大分県のとり天など、各地の郷土料理のレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
郷土料理ってどんな料理?由来や歴史、地域ごとの料理について解説!
![郷土料理ってどんな料理?由来や歴史、地域ごとの料理について解説!](https://video.kurashiru.com/production/articles/afe19877-7105-4b1f-b742-216fff279d2f/wide_thumbnail_large.jpg?1680142413)
- 目次
- 郷土料理とは?
- 郷土料理の由来や歴史
- 日本各地の郷土料理
- 石狩鍋(北海道)
- せんべい汁(青森県)
- いぶりがっこ(秋田県)
- 芋煮(山形県)
- ほうとう(山梨県)
郷土料理とは?
「郷土料理」とは、各地域でとれる食材を使ったり、その土地ならではの調理方法で作った伝統的な料理のこと。世界に目を向けると、韓国のキムチやイギリスのフィッシュアンドチップス、スペインのガスパチョなども、それぞれの地域の郷土料理だといえます。逆に海外から見た日本の代表的な料理といえば、寿司や天ぷら、うどんなどではないでしょうか。
ただし、日本の郷土料理といってもひとくくりにするのは難しく、全国各地にたくさんの郷土料理があります。なぜ各地に郷土料理が生まれたのかや、各地の郷土料理の特徴についてはこのあとご説明します。
郷土料理の由来や歴史
日本は、国土が南北に長いことや海に囲まれた島国であることから、地域によって気候や自然環境がさまざまです。海の幸、山の幸、四季折々の旬の食材など、バラエティ豊かな食材に恵まれています。また、地域によっては独自の信仰や風習、行事などもあります。これらのさまざまな要因が結びつき、各地の郷土料理は生まれたのです。
例えば、冬季に農産物の収量が減る寒い地域では、大根や人参などの野菜を地中に埋めて保存するだけではなく、漬物にして保存したそうです。魚などは日持ちする干物に加工しました。また、寒さの厳しい北海道や東北地方などでは、体が温まる鍋料理や汁物をよく作っていて、それらが郷土料理となっています。
逆に暑い地域や湿度が高い地域では、夏を乗り切るために、冷たくてさっぱりとした料理やのどごしのよい料理、精力がつく料理がよく食べられています。加熱時間の短い炒め物も多いです。
地形の違いでいうと、沿岸部など新鮮な魚介類が手に入りやすい地域では、生で食べる刺身などをよく食べてきました。また、魚介類の漁獲量が多い場合には干物にするなど、食材を無駄にしない工夫をしてきました。
一方、山間部では野菜や山菜、きのこなどが多くとれます。川魚がよく獲れる地域や、イノシシやシカを食料とする地域も。これらの食材を使った郷土料理もあります。郷土料理とは、その土地で暮らす人々が、そこにある自然の恵みを使って豊かに暮らしていくために工夫した結果、生まれたものなんですね。
日本各地の郷土料理
それでは、日本各地にどんな郷土料理があるのかご紹介します。知っている料理や食べたことのある料理はいくつあるでしょうか。見てみましょう!
石狩鍋(北海道)
ぶつ切りにした鮭のあらや身とキャベツや玉ねぎなどの野菜、豆腐などを一緒に煮込み、みそで味つけをした料理。鮭漁がさかんな石狩川の河口にある石狩町で生まれました。もともとは、大漁を祝うために、鮭のぶつ切りやあらをみそ汁が入った鍋に入れて食べたものだったそうです。現在では家庭料理として楽しまれていますが、お祝いの席などで食べるときには、仕上げにいくらをのせて食べたりすることもあるのだとか。
せんべい汁(青森県)
せんべい汁は、青森県八戸市をはじめとした県南地域でよく食べられていて、肉や魚、野菜、きのこなどを具材として作った汁物の中に、南部せんべいを入れて煮込んだ料理です。せんべい汁に使う南部せんべいは、小麦粉と塩、水から作られていて、煮込んでもドロドロになりにくく、もちもちとした食感があります。戦前は南部せんべいを焼くための鉄製の型を持っている家庭が多く、寒冷な気候のため米の収量が少ないときの保存食として重宝していたそうです。
いぶりがっこ(秋田県)
いぶりがっこの「いぶり」は「いぶした」、「がっこ」とは秋田の方言で「漬物」という意味。5日ほどかけて燻した大根を、米ぬかや塩、砂糖などの調味料に漬け込み、2か月以上発酵させて作ります。たくあんを作るには、一般的には大根を天日干しにする必要があるのですが、秋田県の冬は降雪量が多いため、十分に天日に当てることができません。そのため、屋内の囲炉裏火の熱と煙で干したのがいぶりがっこのはじまりだといわれています。
芋煮(山形県)
芋煮は、里芋やねぎ、きのこ、こんにゃく、肉などを具材として煮込んだ鍋料理です。その起源にはふたつの説があり、最上川で荷物の運搬の仕事をしていた人々が、荷受人を待つ間に船着き場の近くでとれる里芋と積み荷の棒ダラなどを煮て食べたのがはじまりとする説と、「芋名月」とも呼ばれる旧暦八月十五夜に里芋をお供えする風習から生まれたという説があります。里芋の収穫時期である秋から冬によく食べられていて、家族や友人と一緒に河原などで芋煮を作る「芋煮会」は、山形県では有名なイベントです。
ほうとう(山梨県)
かぼちゃや人参などの野菜を具材としてみそで仕立てた汁に、太めの平打ち麺を入れて煮込んだ料理です。平野が少ない山梨県では米があまりとれなかったため、養蚕の裏作として麦を栽培し、小麦粉にして麺を作って食べたそうです。武田信玄が刀で食材を切ったことから「宝刀」と呼ばれたのが語源だとも言われています。
みそ煮込みうどん(愛知県)
愛知県の特産品である八丁味噌という赤みそを使った汁に、コシの強い麺を入れて煮込んだうどんです。通常のうどんの麺には小麦粉と塩、水を使いますが、みそ煮込みうどんの麺には塩は使いません。そうすることで、煮込んでもやわらかくなりにくく、コシが残るそうです。
いかなごのくぎ煮(兵庫県)
生のいかなごの稚魚をしょうゆや砂糖、生姜などを使って甘辛く煮た佃煮です。錆びたくぎが曲がっているような見た目をしていることから「くぎ煮」と呼ばれるようになったのだとか。発祥は兵庫県神戸市ですが、瀬戸内海沿岸地域で昔から親しまれています。毎年2月末から4月のいかなごの稚魚が獲れる時期になると、各家庭で大量に作ったり、スーパーでも売り場を広く使って売られたりするようになります。
かき飯(広島県)
広島県江田島市で盛んに養殖が行われている牡蠣とごぼうや油揚げを具材に使い、だし汁で炊いたごはんです。江田島市周辺の湾は、波が静かなことや梅雨から夏にかけて海水の塩分濃度が薄まる部分があるといった点で牡蠣の生育に適しており、縄文・弥生時代から牡蠣を食べていたという歴史もあるそうです。
冷汁(宮崎県)
すりつぶした魚やごま、焼きみそ、豆腐などを使った濃いめの汁を冷やし、麦飯にかけて食べる料理です。きゅうりや大葉も使ったさっぱりとした味わいで、高温多湿な気候の宮崎県で、暑い夏を乗り切るために食べたのがはじまりなのだそうです。
ゴーヤーチャンプルー(沖縄県)
沖縄の特産品であるゴーヤーを使った炒め物です。「チャンプルー」とは、沖縄の方言で「混ぜる」や「炒める」という意味がありますが、チャンプルーとは、豆腐も一緒に炒めている料理を指すのだとか。豆腐や卵と炒めることで、苦味のあるゴーヤーが食べやすくなります。
郷土料理のおすすめレシピをご紹介!
日本各地の代表的な郷土料理をご紹介しましたが、ほかにもさまざまな郷土料理があります。ここからは、郷土料理のおすすめレシピをご紹介します。もっちりとした食感がたまらないはっと汁や、食べごたえ抜群の鶏ちゃん焼きなど、絶品レシピをピックアップしました。
北海道の郷土料理 ピリ辛石狩鍋
寒い日に食べたくなる、ピリ辛石狩鍋をご紹介します。石狩鍋のスープに一味唐辛子を加え、ピリ辛味に仕上げました。鮭の旨味と野菜の甘み、甘酒やみそのコクがピリ辛スープによく合いとってもおいしいですよ。
東北郷土料理 せんべい汁
ほっとする味わいの、せんべい汁を作ってみましょう。汁が染みた南部せんべいはもっちりとした食感で、クセになるおいしさ!今回は鶏もも肉と野菜を具材に使いしょうゆで味つけをしましたが、魚を使ったり、塩やみそで味つけをする場合もあるそうですよ。
山形の郷土料理 芋煮
ほくほく食感がたまらない、芋煮はいかがでしょうか。里芋とこんにゃく、牛こま切れ肉を、しょうゆや砂糖で味つけし、やさしい味わいに仕上げました。お好みで、ごぼうやきのこを入れるのもおすすめですよ。
もっちりあたたか はっと汁
つるつるモチモチの食感がやみつき!はっと汁を作ってみましょう。野菜を入れて煮込んだしょうゆ仕立ての汁に、小麦粉と水を混ぜて練った生地を手でちぎり入れて煮ます。宮城県の郷土料理で、米を満足に食べられなかったときに代用食として飢えをしのいだのがはじまりなのだそうです。
青森郷土料理 イカメンチ
青森県津軽地方で親しまれているイカメンチのご紹介です。ミンチ状にたたいたイカと玉ねぎなどの野菜を混ぜ合わせて揚げました。つなぎで片栗粉を多めに使うとサクッとした食感、薄力粉を多めに使うとふんわりとした食感に仕上がるので、お好みの仕上がりになるように調整してみてくださいね。
香川県郷土料理 茄子そうめん
香川県西部の特産品であるナスを使った茄子そうめんをご紹介します。のどごしのよいそうめんと油を吸ったナス、旨味のある油揚げが相性抜群ですよ。ぜひ作ってみてくださいね。
お家で作る みそ味の鶏ちゃん焼き
鶏肉やキャベツ、玉ねぎなどを炒めた鶏ちゃん焼きは、岐阜県の郷土料理です。地域や家庭によっていろいろな味つけがありますが、今回はみそ味に仕上げました。すりおろしニンニクが効いた食欲をそそる味わいで、ごはんのおかずにぴったりですよ。
鴨肉の治部煮
石川県の郷土料理、鴨肉の治部煮を作ってみましょう。片栗粉をまぶした鴨肉と野菜を、しょうゆやだしで煮込みました。旨味たっぷりの鴨肉やとろみのある汁がとってもおいしいですよ。ぜひお試しくださいね。
大分定番郷土料理 とり天
さっくりと揚がったボリュームおかず、とり天は大分県の郷土料理。今回は鶏もも肉と鶏むね肉を使いましたが、鶏ささみでもお作りいただけます。ごま油を効かせた衣が香ばしく、箸が止まらないおいしさですよ。
沖縄の郷土料理 クーブイリチー
クーブイリチーとは沖縄の方言で「昆布の炒め物」という意味。昆布の歯ごたえや旨味を楽しめる料理です。お好みの具材を加えてアレンジすることもできるので、ぜひレパートリーに加えてみてくださいね。
いろいろな郷土料理を作ってみよう!
今回は、郷土料理の由来や、日本各地の郷土料理について解説しました。郷土料理の成り立ちには、その土地の自然環境や歴史が反映していることがわかりましたね。今回ご紹介したレシピを参考に、行ったことのない土地の郷土料理にも、ぜひ挑戦してみてくださいね。