「蒸留酒」とは、醸造酒を蒸留して作るお酒のこと。ウイスキーなどアルコール度数が高いものが多く、ロックやソーダ割りなど飲み方の幅が広いのが魅力です。今回は、蒸留酒の特徴や種類をはじめ、その味わいや醸造方法、醸造酒との違いなどをご紹介します。記事後半でご紹介する、蒸留酒を楽しむカクテルレシピは必見!
蒸留酒ってどういうお酒?お酒の種類や特徴、蒸留方法について解説!
- 目次
- 蒸留酒の特徴と、醸造酒との違いは?
- 蒸留酒
- 醸造酒
- 混成酒
- 単式蒸留と連続式蒸留の違いとは?
- 単式蒸留
- 連続式蒸留
- 代表的な蒸留酒の種類は?
蒸留酒の特徴と、醸造酒との違いは?
お酒は製造方法の違いで、蒸留酒・醸造酒・混成種の3種類に分けられます。まずは蒸留酒の特徴と、蒸留酒や混成種との違いをご紹介します。
蒸留酒
蒸留酒とは、醸造酒をさらに蒸留して作られるお酒のこと。代表的なものはウイスキー、ジン、ラム、テキーラなどで、これらは「世界四大スピリッツ」と呼ばれています。
そもそも蒸留とは、液体を加熱して気化したものを、冷やして液体に戻す方法のことです。アルコールの沸点は78度と水より低いので、その温度で気化した蒸気はアルコール成分が多く、蒸留を繰り返すことでアルコール度数を高めることができます。
蒸留酒のアルコール度数は40度前後と高いものが多く、アルコールの風味を感じるしっかりとした味わいが特徴です。ストレートで飲むこともできますが、ロックや水割り、カクテルベースなど、さまざまな飲み方で自分好みの味わいを楽しむことができます。
醸造酒
醸造酒とは、果物や穀物に含まれる糖やデンプンを、酵母でアルコール発酵させて作るお酒のこと。代表的なものはビール、ワイン、日本酒で、これらは「世界三大醸造酒」と呼ばれています。
蒸留酒との大きな違いは、蒸留の工程がないこと、アルコール度数が20度以下と低いこと、ストレートで飲むのに適していることなどです。実は、酵母はアルコールに弱く、醸造の過程でアルコール度数20度を越えると活動を停止してしまいます。そのため、アルコール度数20度を越えるお酒を作る場合は、蒸留するかアルコールを添加する必要があるのです。
混成酒
混成種とは、蒸留酒や醸造酒に果物やハーブ、アルコールなどを加え、風味や糖分を添加したお酒のこと。代表的なものは、梅酒、薬酒、リキュール、ベルモット、シェリー酒、サングリアなどです。混成種のベースは蒸留酒と醸造酒の2種類があり、ハーブやスパイス、果実、果皮、甘味料、香料、アルコールなど、さまざまなものを配合して作られるため、種類が豊富なのが特徴です。
単式蒸留と連続式蒸留の違いとは?
蒸留の方法は「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2種類があり、それぞれに適したお酒があります。ふたつの特徴や違いを詳しく見てみましょう!
単式蒸留
単式蒸留とは、ポットスチルと呼ばれる「単式蒸留器」で行われる、昔ながらの蒸留方法です。主に、原料の風味を活かしながらアルコール度数を高めたいときに用いられます。
その仕組みはシンプルで、単式蒸留器に発酵させた液体(もろみ)を入れ、加熱して気化した蒸気を冷やして液体に戻します。1回の蒸留で高められるアルコール度数は原液の3倍程度ですが、原料の風味が残りやすいのが特徴です。
代表的な蒸留酒は、焼酎乙類(本格焼酎)や泡盛、モルトウイスキー、コニャック、ダークラムなど、原料の風味を生かした香り高いものが多いです。
連続式蒸留
連続式蒸留とは、パテントスチルと呼ばれる「連続式蒸留機」で行われる、比較的新しい蒸留方法です。主に、原料の風味をあまり残さずに、効率よくアルコール度数を高めたいときに用いられます。
連続蒸留機の中には何十段もの棚があり、その中で何度も蒸留を繰り返すことで、アルコール度数を100度近くまで高めることができます。アルコール度数が高いほど原料の風味は残らず、よりクリアな味わいのお酒に仕上がります。
代表的な蒸留酒は、焼酎甲類やグレーンウイスキー、アルマニャック、ライトラムなど、クセの少ないものが多いです。
代表的な蒸留酒の種類は?
蒸留酒にはさまざまな種類がありますが、代表的な種類は焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、テキーラ、ラムなどです。ここでは、それぞれの特徴や違いをご紹介しましょう。
焼酎
日本や韓国で作られる、穀類や黒糖などを使った蒸留酒です。単式蒸留器で作る焼酎乙類は原料である芋や麦の風味を活かした味わい、連続式蒸留機で作る焼酎甲類はクセが少なくすっきりとした味わいが特徴です。
ウイスキー
アイルランド・スコットランド発祥の蒸留酒で、木製の樽で熟成されたまろやかな風味と琥珀色が特徴です。モルトウイスキーは大麦麦芽を単式蒸留器で2〜3回、グレーンウイスキーは大麦やライ麦、トウモロコシなどを連続蒸留機で蒸留して作られます。
ブランデー
果実から作られる蒸留酒で、甘くフルーティーな風味が特徴です。フランスのコニャックやアルマニャックなど、ぶどうのブランデーが有名ですが、りんごやさくらんぼ、木いちご、洋なし、あんずなどさまざまな種類があります。
ウォッカ
ロシア発祥の蒸留酒で、大麦や小麦、ライ麦、じゃがいもなどの穀物から作られます。連続蒸留器で蒸留した後に白樺の炭で濾過することで、無味無臭でクセのない味わいに仕上げます。
ジン
大麦やライ麦、じゃがいもなどを使った蒸留酒に、ジュニパーベリーなどのボタニカル(植物成分)を加えた、爽やかな風味が特徴です。イギリスのロンドン・ドライジンが有名ですが、その発祥はイタリアやオランダなどさまざまな説があります。
テキーラ
メキシコ・ハリスコ地方で作られる、竜舌蘭(リュウゼツラン)という多肉植物の蒸留酒です。蒸留後に樽熟成させた「ゴールドテキーラ」と、炭で濾過した「ホワイトテキーラ」の2種類があります。
ラム
カリブ海発祥の蒸留酒で、サトウキビの糖蜜やしぼり汁から作られます。甘くまろやかな風味が特徴で、蒸留後に樽熟成させた「ダークラム」、熟成を行わない「ホワイトラム」、これらをブレンドした「ゴールドラム」の3種類があります。
蒸留酒を楽しむ!カクテルレシピ
蒸留酒はアルコール度数が高いものが多いですが、カクテルにするととても飲みやすくなります。おすすめのカクテルレシピをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ミントジュレップ
ミントを使ったカクテルはモヒートが有名ですが、ウイスキーベースのミントジュレップもおすすめです!ほんのりと甘く爽やかな風味がウイスキーの風味を和らげて飲みやすくしてくれます。暑い季節におすすめの1杯ですよ。
ハイボール
ウイスキーの代表的な飲み方といえば、やはりハイボール!シュワシュワとした刺激が心地よく、ウイスキー本来の風味をしっかりと感じることができますよ。ぜひお好みのウイスキーで作ってみてくださいね!
ホットウイスキー
ウイスキーをお湯で割った、ホットウイスキーです。シナモンが香るまろやかな味わいは、寒い季節にぴったり!お好みのスパイスを加えたり、砂糖やジャムで甘味をプラスしたりと、自分好みのアレンジをお楽しみくださいね。
ジンリッキー
ジンリッキーとは、ジンをソーダで割ってライムを加えたカクテルのこと。キリッと爽やかな風味と、すっきりとドライな喉越しが魅力です。幅広い料理に合わせやすいので、食中酒として楽しむこともできますよ。
モスコミュール
モスコミュールとは、ウォッカをジンジャーエールで割り、ライムを加えたカクテルのこと。甘くさっぱりとした味わいで飲みやすいことからバーでも人気があります。お好みで生姜の絞り汁を加えて、よりドライな風味を楽しむのもおすすめですよ!
ソルティドッグ
グラスの縁に塩をあしらったソルティドッグは、普段とはひと味違うカクテルを楽しみたいときにぴったり!ほんのりと苦いグレープフルーツに、程よい塩気が加わってクセになるおいしさですよ。
ラムコーク
手軽にカクテルを楽しみたいときには、ラムコークがおすすめです。甘く複雑な風味は、ついつい後を引くおいしさ!ハンバーガーなどアメリカ料理によく合うので、休日のランチにもおすすめですよ。
蒸留酒でカクテルを楽しもう!
今回は、蒸留酒の特徴をはじめ、その種類や醸造方法、醸造酒との違い、おすすめのカクテルレシピなどをご紹介しました。蒸留酒とは、醸造酒と蒸留して作るお酒のことで、ウイスキーやブランデー、ラムなどさまざまな種類があります。アルコール度数が高いものが多いですが、カクテルにするととても飲みやすいので、ぜひ自分好みの味わいでお楽しみくださいね。
※20歳未満の飲酒はやめましょう。