灰汁（アク）を取る意味は？理由と取り方のコツについて解説！

お鍋などで食材をぐつぐつ煮ていると出てくる「アク」。食材の渋みやえぐみ、臭みの原因となる成分が染み出したものです。今回は、アクを取る理由や取り方のコツについて詳しく解説します。記事後半では、アクを取ることで仕上がりに差が出るおすすめレシピもご紹介していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。

お鍋や煮物などを作っていると、表面に濁った泡が出てきますよね。その正体が今回のテーマである「アク」です。アクは、食材に含まれる渋みやえぐみ、臭みの原因となる成分が染み出したもの。このアクを取らないと、口に入れたときに苦味のような風味が広がり、せっかく作った料理が台無しになってしまいます。 そんなアクですが、野菜などの植物性の食材から出るアク、肉や魚などの動物性の食材から出るアクの2種類があります。以下でそれぞれチェックしてみましょう。

じゃがいもやナスなどを切って置いておいたら変色してしまった、また、タケノコを食べたら舌に苦味のような刺激を感じたといった経験はありませんか？これは、野菜に渋みやえぐみなどが含まれているためで、その渋みやえぐみの成分が空気に触れることで酸化することにより色が変わったり、舌に刺激を与えたりしているのです。諸説ありますが、野菜に渋みやえぐみがあるのは、動物や虫などに食べられないように自分の身を守るためなんだとか。

ただし、すべての野菜にアクがあるわけではなく、キャベツや白菜などはアクがありません。それらの野菜はそのまま食べるサラダなどにも向いています。

カレーなどの煮込み料理や煮魚を作っていると、茶色い泡が出てきますよね。これは、肉や魚などから出るアクです。このアクには、血液やたんぱく質、脂肪などが含まれていて、熱を加えることで茶色い泡として表面に浮かび上がってきます。このアクを取り除かないと臭みが出て、料理の味が悪くなることもあります。

ちなみに植物性の食材、動物性の食材、どちらのアクも熱を加えると出やすくなるという性質があります。

鍋や煮込み料理などを作る際、アクを取らないままでいると料理に影響が出てしまうことも。食べたときに渋みやえぐみを感じたり、舌触りも悪くなって、せっかく作った料理の味が損なわれてしまうのです。さらに、アクが浮いた状態のまま調理し続けると、煮汁が濁り、料理の見た目も悪くなってしまいます。

アクを取ることで渋みやえぐみを取り除けるので、料理が風味よく仕上がります。おいしいのはもちろん、見た目もよくなりますので、ぜひアクを取るようにしてみてくださいね。

アクの種類やアクを取る理由がわかったところで、続いてはアクの取り方について動画で確認してみましょう。

鍋や煮物で出てくるアクは、お玉ですくい取ることができます。表面に浮いてきたアクをお玉で鍋のフチに寄せると、すくいやすいですよ。すくい取ったアクは、再びお鍋や煮物に戻ってしまうのを防ぐために、水を張ったボウルにつけて落とします。

このほかにも、アクを取る方法がいくつかありますので、以下でチェックしてみましょう。

アクをすくい取る道具は、おたま以外に網じゃくしや玉杓子などが使えます。お玉だとどうしてもアク以外の部分もすくいとってしまいますが、網杓子などを使えばアクだけが取れるので、汁が減ったり旨みまで取ってしまったりすることがありませんよ。

煮物を作るときに出るアクは、キッチンペーパーやアルミホイルで取ることもできます。調理するときに落とし蓋代わりにキッチンペーパーやアルミホイルをのせ、最後にそっと持ち上げるとアクも一緒に取れますよ。

最近では、専用のアク取りシートも販売されているので、そういったものを使うのもおすすめです。

先ほどは食材を煮込んだ際に出てくるアク取りの方法をご紹介しましたが、アクの強い野菜は調理する前にアク抜きするのがおすすめです。事前にアク抜きすることで、調理中に出るアクを少なくすることができますよ。以下で、野菜別のアク抜き方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

なすや芋類のアクは水に溶けやすいため、水にさらすことで取り除くことができます。野菜の皮をむいたり切ったりした後に、水を張ったボウルに5～10分程度さらすようにしましょう。

時間が経つと色が変わってしまうごぼうやれんこんは、酢水にさらすのがおすすめです。水1Lに大さじ1の酢を混ぜ、そこに10分程度さらします。時間が経ったら、水でさっと酢水を洗い流してくださいね。

アクは熱を加えることで出やすくなる特徴があるため、水でさらすだけではアク抜きしきれないほうれん草は、熱湯でサッとゆでた後に水にさらしましょう。

大根の下ゆでには、米のとぎ汁を使います。米のとぎ汁が大根から出たアクを吸着してくれるので、大根が白く仕上がりますよ。

ほかにもたけのこは米ぬか、山菜は重曹と一緒にゆでることで、アク抜きすることができます。ただし、アク抜きをしすぎると、せっかくの野菜の風味が失われてしまうので注意してくださいね。

ここまで、アクのとり方やアク抜きの方法をご紹介しました。最後はアクを取ることでより一層おいしくなるおすすめレシピをご紹介します。食材本来のおいしさを楽しむためにも、丁寧にアク取りをして作ってみてくださいね。

豚肉を使ったやさしい味わいの肉じゃがです。料理酒を加えてアルコールを飛ばし、さらにアクをしっかりと取れば、豚肉の臭みが和らぎおいしく仕上がります。もちろん豚肉の代わりに牛肉を使ってもおいしくお作りいただけますよ！

具だくさんでおなかも大満足の豚汁はいかがでしょうか。豚肉と野菜を炒めているので旨みたっぷり！こんにゃくはしっかりアク抜きをするか、アク抜きされたものを使って作ってみてくださいね。

角切り肉を使うことの多いビーフカレーですが、牛こま切れ肉でもおいしく作れます！アクを丁寧にすくい取ることで、牛肉特有の臭みが抑えられおいしく仕上がりますよ。

※ご使用の電子レンジの機種や耐熱容器の種類、食材の状態により加熱具合に誤差が生じます。 様子を確認しながら完全に火が通るまで、必要に応じて加熱時間を調整しながら加熱してください。

生姜が効いた、サバの水煮缶を使ったお鍋です。缶詰を使っているので、手間なくお作りいただけます。アクを取り除くことで、雑味のないおいしい鍋に仕上がりますよ。サバと野菜から染み出したおだしがたまらない、寒い季節にお試しいただきたい一品です。

今回は、アクを取る理由や取り方のコツについて解説しました。アクは、苦みやえぐみ、臭みの原因となる成分です。少し手間に感じるかもしれませんが、料理をおいしくするためにもアクを丁寧に取り除いたり、アク抜きをしたりしておいしい一品を作ってみてくださいね。