独特の風味と歯ごたえのよさが魅力の「ごぼう」。きんぴらごぼう、豚汁、炊き込みごはん、かき揚げなど、和食には欠かせない食材です。今回は、そんなごぼうに含まれる栄養素とおいしいごぼうの選び方のほか、下処理の方法について解説します。効率よく栄養素を摂取する方法やおすすめレシピもぜひチェックしてくださいね。
ごぼうの選び方と栄養素を解説!2種類の食物繊維に注目
- 目次
- ごぼうは元々薬だった?!
- 新鮮なごぼうを選ぶ4つのポイント
- 1.まっすぐ伸びていて太さが均等
- 2.切り口に穴がない
- 3.根元にひび割れがなくひげ根が少ない
- 4.表面にハリがあって弾力がある
- 主要な栄養素はこちら
- バランスがいい食物繊維に注目!
ごぼうは元々薬だった?!
きんぴらごぼうや豚汁など、日本人にとっては馴染み深い「ごぼう」ですが、実はごぼうを食用としているのは日本の他に韓国と台湾だけなんです。
ごぼうはユーラシア大陸の各地に分布しており、「薬用」として平安時代に中国から日本に伝わってきたと言われています。海外ではごぼうを「薬」としか認識していないので、「日本人は木の根っこを食べている」と思われているようです。
そんなごぼうの旬は11~2月の寒い冬の時期ですが、4~5月になると新ごぼうが出回ります。新ごぼうは通常よりも早く収穫するため、食感がやわらかく香りがいいのが特徴です。
新鮮なごぼうを選ぶ4つのポイント
スーパーに行くと、泥付きのものと洗いごぼうが売られていますが、洗ってあるものは水分が抜けやすいので日持ちがしません。泥がついたままの方が日持ちがよく風味もいいので、泥付きのものを選ぶようにしましょう。新鮮なごぼうを選ぶときの大事なポイントは下記の4つです。
1.まっすぐ伸びていて太さが均等
まずはごぼうの「太さ」をチェックしましょう。あまりにも太いものは「す」が入っている可能性があるので、中くらいの太さのものを選びましょう。10円玉くらいの太さが目安です。また、まっすぐ伸びて太さが均等なものほど良品ですよ。
2.切り口に穴がない
次にごぼうの「切り口」を見てみましょう。断面に空洞があるものは水分が抜けて「す」が入っているので避けるようにしましょう。
3.根元にひび割れがなくひげ根が少ない
続いては表面です。縦に「亀裂」が入っていたり、根元に「ひび割れ」があるものは鮮度が落ちているので避けるようにしましょう。「ひげ根」が少ないのは、土壌の環境が良かった証拠です。ひび割れがなく、ひげ根が少ないものを選ぶようにしましょう。
4.表面にハリがあって弾力がある
最後に手に持ってみて「重さや弾力」があるかをチェックしましょう。表面にハリがあって、触ったときに弾力があるものが新鮮です。やわらかくぐにゃっと曲がるものは水分が抜けているので避けましょう。持ったときにあまりにも軽いものは「す」が入っている可能性があります。
主要な栄養素はこちら
ごぼうは食物繊維だけでなく、ミネラルや微量ですがビタミン類をバランスよく含んでいます。ごぼう100gに含まれる主要な栄養素は以下の通りです。
エネルギー 58kcal
たんぱく質 1.8g
脂質 0.1g
炭水化物 15.4g
カルシウム 46mg
リン 62mg
マグネシウム 54mg
カリウム 320mg
バランスがいい食物繊維に注目!
食物繊維を含む野菜はごぼうの他にもたくさんありますが、注目すべきなのは、水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含んでいるということです。ごぼうに含まれる栄養素の中でも、とくに注目したいのが以下の4項目。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水に溶ける性質があり、食物中の水分を吸収してゲル化(ゼリー状)し、腸内をゆっくりと移動することで、糖の吸収を遅らせ血糖値の急な上昇を抑えます。また、水溶性食物繊維は粘着質なので、体内の不要な老廃物を吸着して体外に排泄させます。ただし、水溶性食物繊維を多量に摂取すると、下痢を引き起こすことがあるので摂りすぎないように注意しましょう。
不溶性食物繊維
腸内で水分を吸収して膨らみ、腸壁を刺激して蠕動運動を活発にすることで、便通を促進します。また、よく噛むことで満腹感を得やすくなり、食べすぎ防止にも効果的。多量に摂取すると便秘になることがあるので、摂り過ぎには注意が必要です。
イヌリン
イヌリンとは多糖類の一種ですが、人間の消化酵素では分解できないため、水溶性食物繊維に分類されています。腸内で善玉菌のエサとなるため、善玉菌が増えて腸の動きが活発になり、体の中から健康や美容をサポートします。血糖値の上昇を抑える働きが期待できます。
クロロゲン酸
ごぼうを水にさらしたときに水が茶褐色になるのは、コーヒーにも含まれているポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が水に流れ出すためです。クロロゲン酸には強力な抗酸化作用があり、体内の活性酸素を取り除いてくれます。
ごぼうは正しく「下ごしらえ」することが重要
ごぼうは食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれています。その栄養素を逃さないためにも、正しい方法で下ごしらえをすることが大切です。
皮をこそげ落としたり、変色しないように水に長時間さらす方も多いかと思いますが、やりすぎは、栄養素と風味を損なう原因に!
ごぼうの皮をむくのはNG!
ごぼうは皮の近くに独特の風味やポリフェノールなどの栄養素を多く含むので、皮をむくと大事な栄養素を逃してしまうことになります。ごぼうは皮をむかずにたわしで泥を洗い流す程度にしましょう。気になる部分は、包丁の背でこそぐときれいになりますよ。たわしの代わりにアルミホイルをくしゃくしゃに丸めたものでも代用できます。このとき、やりすぎて皮までこそげ取らないよう気を付けてくださいね。
アク抜きは不要!
ごぼうはアクが強いため、切っているそばから変色していきます。変色を防ぐために、水か酢水にさらしてアク抜きをするのが一般的ですが、実はアク抜きは必要ないんです!ごぼうのアクは有害なものではなく、クロロゲン酸というポリフェノールなので、むしろアク抜きをすることで栄養素が水の中に流れ出してしまいます。
切ったらすぐ調理を
ただし、切ったごぼうをそのままにしておくと変色してクロロゲン酸が失われていくので、すぐに調理する必要があります。手早く行えば、ごぼう1本くらいだと変色しませんが、ごぼうの本数が増えるとどうしても変色していくので、気になる方は、切ったそばからごぼうを水か酢水にさらしていきましょう。
全部切り終えたら30秒ほど水にさらすだけでOK。アク抜きは軽くすすぐ程度にし、長時間水にさらさないことが大切なポイントですよ!
食物繊維を効率的に摂る方法は?
食物繊維には前述にあるように、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。水溶性と不溶性では、それぞれ効果的に食物繊維を摂る調理法が異なります。
水溶性食物繊維を効果的に摂るには
水溶性食物繊維は水に溶け、腸内で水を吸収してゲル化するので、水分を含ませるように調理するのがポイントです。以下のレシピのように、豚汁やスープにして、汁ごと食べるのがおすすめですよ。
不溶性食物繊維を効果的に摂るには
不溶性食物繊維を効果的に摂るには、繊維を断ち切ることで消化吸収率が高まります。以下レシピのように、ささがきにしたきんぴらごぼうや、麺棒で叩いて調理するたたきごぼうなどはまさにおすすめです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、それぞれ効率よく摂取するレシピをご紹介しましたが、このどちらか片方を摂ればいいということではなく、どちらもバランスよく摂ることが大切です。ぜひ参考にしてくださいね。
食物繊維を摂って体の中からきれいに
ごぼうに含まれる栄養素と、おいしいごぼうの選び方をご紹介しました。6番目の栄養素として注目されている「食物繊維」には、腸の働きを整え、健康を維持するのに大切な役割を果たしています。ぜひ日々の献立にごぼうを取り入れてみてくださいね。
クラシルでは、ごぼうの保存方法やごぼうを使った絶品レシピも多数ご紹介しています。おいしいごぼうを選んだら、正しい保存方法で最後まで楽しんでくださいね。