最終更新日 2023.6.9

ドイツパンはフランスパンと何が違う?種類や魅力を解説

ドイツパンはフランスパンと何が違う?種類や魅力を解説

「ドイツパン」を食べたことがありますか?ずっしりとした重みと噛みごたえがあり、その特有の風味はクセになる味わいですよね。今回は、ドイツパンの特徴や種類、フランスパンとの違いについて解説します。記事の後半では、おうちで作れるドイツパンのレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。

  • 目次
  • ドイツパンの特徴は?
  • ドイツパンはフランスパンとどう違う?
  • パリジャン
  • バゲット
  • バタール
  • ブール
  • クッペ/クーペ
  • シャンピニオン

ドイツパンの特徴は?

パンで有名な国は世界にいくつかありますが、ドイツもそのうちの一つで世界一パンの種類が多いといわれています。ドイツの中でも地方によってパンの特徴がさまざまなため正確な数はわかりませんが、大型パンは300種類以上、小型パンでは1200種類以上もあるんだとか。

ドイツパンの特徴は、原料にライ麦を使っていること。ドイツは緯度が高く寒冷な気候のため、小麦よりライ麦の方がよく育ちます。そのためライ麦をパンの原料として使うようになりました。ただし、ライ麦にはグルテンが含まれておらず、ライ麦だけではパンは膨らみにくいので、小麦を混ぜて使います。ライ麦粉の配合量によってパンの呼び名も変わるのですが、詳しくは後ほど解説します。

グルテンを含まないライ麦を使うことによって、ドイツパンは焼きあがっても生地の目が詰まっていて、ずっしりと重い仕上がりになります。また、ドイツパンを食べると酸味を感じる場合があるのですが、これはドイツパンではパンを膨らませるためにイーストではなくサワー種を使っているためです。

サワー種とは、ライ麦と水から作ったドイツ発祥の発酵種で、サワー種に含まれる乳酸菌や酢酸菌がパンに酸味や香味を与えます。サワー種にはドイツパンを作るときに生地を扱いやすくしたり、保存性をよくしたりする働きもあります。

ドイツパンはフランスパンとどう違う?

ドイツパンがライ麦を原料に使うのに対して、フランスパンは小麦粉と水、塩、パン酵母と、シンプルな原料です。また、ドイツパンは黒っぽい色をしていますが、フランスパンは表面はキツネ色、内部は白色をしています。

私たちがフランスパンと呼んでいるものは、フランスでは「パン・トラディショネル」と呼ばれ、政令によってパンの条件が決められています。パン・トラディショネルは表面のパリパリとした食感を楽しむもので、焼きあがりから1~4時間後くらいに食べるのが最もおいしいとされています。

パン・トラディショネルは、同じ生地でも分割重量や成形の違いによってさまざまな呼び名があります。そのうちのいくつかを以下でご紹介するので、見てみましょう。

パリジャン

67~68cmもある、最も長くて太い種類。パリジャンという名前には「パリのパン」という意味があります。

バゲット

バゲットはフランスパンの代表的なもので、「棒」や「杖」という意味。細長い形をしていて、皮の食感を楽しみたい方におすすめです。

バタール

「中間の」という意味があり、バゲットと同じ生地重量ながら太く短く成型したもの。バゲットに比べ、内層のクラム部分が多いのが特徴です。

ブール

「丸」や「ボール」という意味がある、丸型をしたフランスパン。パン職人やパン屋を表す「ブーランジェ」「ブーランジェリー」の語源です。

クッペ/クーペ

クープと呼ばれる切れ目が1本だけ入ったフランスパン。パンの長さは8~9cmほど。

シャンピニオン

名前には「きのこ」という意味があり、丸いパンの上に円盤状のカサのような生地がのっています。カサの部分がパリッとした食感です。

ドイツパンの種類

ドイツパンは、ライ麦と小麦の配合割合によって分類することができます。ライ麦粉が90%以上のものは「ロッゲンブロート」、50~90%未満は「ロッゲンミッシュブロート」、50%は「ミッシュブロート」、10~50%未満は「ヴァイツェンミッシュブロート」、10%未満は「ヴァイツェンブロート」。

聞きなれない名前なので少し難しく感じるかもしれませんが、「ブロート」は「パン」、「ロッゲン」は「ライ麦」、「ミッシュ」は「混ぜる」という意味があり、これらを組み合わせた名前になっているんですよ。

冒頭でも説明したとおり、ドイツパンには1500以上の種類があり、副材料や成形の仕方に特徴があります。以下でいくつかをご紹介するので、チェックしてみましょう。

プレッツェル

ラテン語で「腕」という意味。語源には諸説ありますが、腕組みをしているような形をしていることから名づけられたとも言われています。ユニークな形と、褐色の焼き色が特徴です。甘い味つけのものもありますが、塩気を効かせたものが多いです。ライ麦は使っておらず、外はカリッと、中はもっちりとした食感で、ビールのおつまみにもぴったりです。

プレッツェルについてもっと知りたいこちら

カイザーゼンメル

カイザーは「皇帝」、ゼンメルは「小さいパン」という意味です。王冠のような模様がついていることから名づけられたのだとか。オーストリアが発祥ですが、ドイツでもよく食べられています。シンプルな味わいのパンで、ハムなどの具材をはさんで食べます。

クラップフェン

ドイツの揚げパン。生地はふんわりと軽く、中にはジャムやチョコレートなどのフィリングが入っています。地域によっては「ベルリーナー」や「プファンクーヘン」と呼ばれることも。もともとは大晦日や謝肉祭を祝って食べていたものですが、最近では年間を通していつでも売っているそうです。

プンパニッケル

ライ麦の配合比率が100%のドイツ発祥の黒パンです。16時間以上かけてじっくり焼かれ、焼きあがったパンはもちっとした食感で、ぎっしりと目が詰まって噛みごたえがあります。チーズやサワークリームと相性抜群です。

シュトレン

ドイツでアドベントと呼ばれるクリスマス前のシーズンに食べる定番のお菓子です。シュトレンという名前には「坑道」という意味がありトンネルの形に似ていることが由来だとか、白い砂糖に包まれた見た目が白いおくるみにくるまれたイエスのようだからなど由来は諸説あります。バターをたっぷり使った生地の中に、洋酒に漬けたドライフルーツやナッツが練りこまれています。日持ちするので、クリスマスまでに少しずつスライスしながら食べて楽しむそうです。

ドイツパンのおいしい食べ方

ドイツパンは、スライスしてから、具材をのせてオープンサンドにして食べるととてもおいしく、ドイツでもそれが主流のようです。ドイツパンはライ麦比率に合わせてスライスの厚さを変えるのがおいしく食べるポイント。例えば、ライ麦比率50%であれば10mm、ライ麦比率100%であれば5mmなどと、ライ麦比率が高く重めのものほど薄くスライスするとよいのだとか。

また、ドイツパンには油があまり含まれておらず酸味があることから、バターを塗ったり、チーズと合わせるとよりおいしく食べられます。それから、ハムや野菜、ピクルスなどをのせ、塩こしょうで味つけをします。ドイツでは、パンに塗るフレーバー付きのチーズや、肉や魚介類をペースト状にしたものが売っていて、これらもよく使われているそうです。

おうちで作れるドイツパンのレシピをご紹介!

ここからは、ドイツパンのレシピをご紹介します。カイザーゼンメルやプンパニッケル風ライ麦パンなど、おうちでも作れるんですよ。ぜひチェックしてみてくださいね。

カイザーゼンメル

けしの実のプチプチ食感がおいしい!カイザーゼンメルのご紹介です。成形した生地には包丁で切り込みを入れ、模様をつけます。切り込みを入れ、けしの実をつけた面を下に向けて発酵させるのがきれいに仕上げるポイントですよ。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

プンパニッケル風ライ麦パン

お酒のおつまみにもおすすめ!プンパニッケル風ライ麦パンはいかがでしょうか。プンパニッケルは、本来であればライ麦粉100%で作りますが、今回は半分を強力粉で代用し、やわらかめの仕上がりにアレンジしました。キャラウェイシードは清涼感とほんのり甘い香りがあるスパイスでパンの風味をよくする効果がありますが、ない場合は入れなくてもおいしくお作りいただけますよ。

お家で作る シンプルライ麦パン

シュトーレン

クリスマス前にいただくドイツパン「シュトーレン」のご紹介です。シナモンやカルダモンなどのスパイスと、ナッツやドライフルーツの旨味がたっぷり!薄くスライスして、少しずついただきます。

シンプルな材料で、ライ麦パンを作ってみましょう。ライ麦を配合することで、いつものパンとはまた違った風味や食感を楽しめます。ジャムやクリームチーズともよく合うので、お試しくださいね。

おうちでドイツパン作りに挑戦してみよう!

今回は、ドイツパンの特徴や種類、フランスパンとの違いについて解説しました。発酵や成形など、パンを手作りするには手間がかかりますが、自分で作ったパンは格別のおいしさ!パンが焼ける香りや、焼き立てのおいしさを楽しめるのも魅力ですよ。今回ご紹介したレシピを参考に、ぜひ作ってみてくださいね。

クラシルでは、ドイツパンによく合うザワークラウトやレバーペーストなどのレシピもご紹介しています。そちらも、ぜひ参考にしてみてください。

※20歳未満の飲酒はやめましょう。

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2023.3.30 最終更新

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