「食品ロス(フードロス)」とは、まだ食べることができるのに廃棄されている食品のこと。日本での国民一人当たりの一日の食品ロスは、お茶碗一杯分にも相当するそうです。この記事では、フードロスの原因や家庭でもできる対策についてご紹介します。世界的にも大きな問題になっている食品ロスについて、少し考えてみませんか。
フードロスとは?問題を知って家庭でできることを考えよう!
- 目次
- 食品ロスとは?
- 事業系食品ロスが発生する原因
- 家庭から食品ロスが発生する原因
- 「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」について
- 食品リサイクル法
- 食品ロス削減推進法
- 食品ロスを減らすためにできることは?
- 買い物の際にできること
食品ロスとは?
食品ロスとは、本来は食べることができるのに廃棄されている食品のことです。日本では、年間522万tもの食品ロスが発生しています(令和2年度推計値)。これは、日本人一人当たりが毎日ごはん茶碗1杯分のごはんを捨ててしまっているのと同じくらいの量になるそうです。
食品ロスは、食品製造業や卸業、小売業、外食産業などで発生する「事業系食品ロス」と、各家庭から発生する「家庭系食品ロス」に大きく分けられます。
事業系食品ロスが発生する原因
食品メーカーや卸、小売業との間には、「3分の1ルール」という商慣行があります。これは、賞味期限の3分の1以内に商品を小売店に納品しなければいけないというルールで、1990年代にはじまったとされています。
この3分の1ルールは、小売店は在庫の鮮度を確保して消費者に賞味期限の長いものを提供できるというメリットがあります。その一方で、食品ロスを引き起こす原因ともなります。この期限内に小売店に納品できなければ、まだ食べられる状態なのに廃棄されてしまう可能性が高くなってしまうためです。
外食産業においては食品ロスの主な原因は食べ残しで、とくに宴会や披露宴などで発生するものが多いとされています。
家庭から食品ロスが発生する原因
家庭での食品ロスは、料理の作り過ぎなどによる食べ残し、未開封のまま食べずに捨ててしまう直接廃棄、野菜の皮などの過剰除去などが原因として挙げられます。
調理の際、魚の骨や貝の殻、野菜の芯や果物の皮など、食べられない部分を取り除いて捨てることは食品ロスとは区別されます。野菜のヘタを大きく切り取ったり、野菜や果物の皮を厚く剥きすぎたりして、食べられる部分まで捨ててしまうことは過剰除去とされ、食品ロスを増やすことになります。
「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」について
食品ロスを削減するための方針を定めた法律についてご紹介します。
食品リサイクル法
「食品リサイクル法」は、農林水産省により2001年に施行されました。食品関連事業者による、食品循環資源の再生利用を促進するための方針と数値目標を定めています。この法律では、食品の売れ残りや製造過程で発生する食品廃棄物の量を減らすだけでなく、食品廃棄物を飼料や肥料として再利用することを目指しています。
2019年には新たな基本方針が策定され、食品関連事業者だけではなく、消費者の食品ロス削減に係る役割が基本理念に明記されています。SDGsを踏まえた事業系食品ロスの目標が設定され、2030年度には全体で2000年度の半減とすることを目標としています。
食品ロス削減推進法
消費者庁により2019年に施行された「食品ロス削減推進法」は、国・地方公共団体、事業者、消費者が連携し、国民運動として食品ロスの削減に取り組むことを目的としています。事業者だけではなく、消費者が行う取り組みについても詳しく明記されているのがポイントです。
また、法律が施行された10月を「食品ロス削減月間」としてイベントなどを行い、食品ロス削減に関する意識を高めるための啓発活動が行われています。
食品ロスを減らすためにできることは?
食品ロスを減らすために、私たち消費者ができることは何でしょうか。
買い物の際にできること
買い物の際は、まずは家にある食材の量と賞味期限・消費期限を確認し、鮮度を保った状態で使い切れる分だけ購入するようにしましょう。奥から商品を取らずに賞味期限の近いものを購入する「手前取り」や、すぐに食べる予定なら賞味期限が近い値引き品を購入するなどを意識することで、小売店での食品廃棄量を減らすことにもつながります。
調理の際にできること
野菜の皮やヘタはなるべく小さく薄く取り除き、食材の食べられる部分はなるべく無駄にしないようにしましょう。賞味期限・消費期限が近いものや、中途半端に残っている食品を計画的に使うことが大切です。また、食べ残しが出ないための工夫として、食べる分だけ食卓に出す、作り過ぎないなどの工夫もしてみましょう。
食品の保存の際にできること
食品の保存の際には、パッケージの表示を確認して適切な保存を行い、賞味期限・消費期限を把握しておくことが大切です。備蓄食品はローリングストックを行い、廃棄を出さないようにしましょう。もし未開封のまま期限内に使い切れない場合は、生活に困っている方やこども⾷堂、福祉施設などへの支援にもつながる「フードバンク」への提供を考えてみるのもおすすめです。
外食の際にできること
外食では、食べ残しが出ないように食べ切れる分だけ注文することが大切です。残してしまった場合は、お店の方に相談の上で持ち帰りも検討してみましょう。また、宴会では「3010運動」を実践してみましょう。これは宴会での食べ残しを減らすための環境省のキャンペーンで、最初の30分と最後の10分は席を立たずに料理を食べる時間を設けるという取り組みです。
食品ロスを減らすのに役立つ、おすすめレシピ
食品を丸ごと使い切れるレシピをご紹介します。おいしく食べることで食品ロスの削減につながりますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ゆずピールの作り方
ゆずの皮を捨てずに活用できる、ゆずピールのご紹介です。鮮やかな色味も美しく、ゆずの爽やかな香りが楽しめますよ。そのままおやつとして食べるのはもちろん、ケーキやクッキーなどのお菓子を作るときに加えるのもおすすめです。
オーブンで簡単に作れる 柿チップス
傷みやすい果物が余っているときは、チップスにするのもおすすめ。こちらは薄くスライスした柿を使ったレシピです。オーブンで加熱することで甘みが凝縮され、ほどよいやわらかさとなり、とてもおいしいおやつになりますよ。
みかんで簡単 オランジェット
冬を代表する果物のひとつ、みかんを使ったオランジェットはいかがでしょうか。皮つきのままスライスしたみかんを使うので、ごみも出さずに済みます。甘酸っぱいみかんとチョコレートがよく合い、手が止まらないおいしさです。
めんつゆで 大根の葉としらすのふりかけ
使い道に迷う大根の葉を活用して、ふりかけを作ってみませんか。ほろ苦い大根の葉にしらすの旨味とかつお節の風味が加わり、ごはんのお供にぴったりの味わいに仕上がりますよ。葉つきの大根を買ったらぜひお試しくださいね。
ブロッコリーの茎でザーサイ風
捨ててしまいがちなブロッコリーの茎で作る、ザーサイ風の一品です。薄くスライスしたブロッコリーの茎を、調味料で和えるだけの簡単レシピ。ごま油の香ばしい風味とピリッと辛いラー油が効いて、クセになる味わいですよ。
ハムとねぎの簡単チャーハン
長ねぎの青い部分も無駄なく使える、チャーハンのご紹介です。青い部分は少し固い食感ですが、みじん切りにして炒めることで、風味よくおいしくいただくことができますよ。ささっと作れるのでランチにおすすめです。
カブの葉大量消費 グリーンポタージュ
カブの葉をたっぷりと使える、グリーンポタージュのレシピです。カブの葉は苦みが少なく、やさしい味わいのスープになりますよ。ベーコンの旨味とバターのコクで食べ応えもある一品なので、ぜひ葉も活用して作ってみてくださいね。
食品ロスを減らすためには、一人一人の意識が大切
私たちのちょっとした心がけ次第で、家庭から出る食品ロスは減らすことができます。食材は丸ごと使う、賞味期限・消費期限をチェックして使い切る、作り過ぎないといった取り組みを、日々の生活のなかで実践してみてはいかがでしょうか。