特有の酸っぱさが魅力の「梅」。代表的な加工品である梅干しはもちろん、梅酒やジュースにしてもおいしいですよね。
梅の選び方と栄養素|買い物で役立つ基本の「き」
実は梅の魅力はおいしさだけではなく、その小さな粒の中にはミネラルの吸収を助ける「クエン酸」という栄養素がギュッと詰まっているんです。今回は、梅に含まれる栄養素や正しい食べ方、新鮮な梅の選び方についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 目次
- 「梅雨は梅の季節」
- 代表的な梅の品種は?
- 主要な栄養素はこちら
- ミネラルの吸収を助ける「クエン酸」に注目
- おいしい「梅」の選び方
- 調理で気を付けたいポイントは?
- 梅雨の季節に梅の香りを楽しもう!
「梅雨は梅の季節」
「梅雨は梅の季節」と言われるように、梅の旬は5月〜6月頃になります。梅は雨によって水分を与えられ、そして日光を浴びてという繰り返しによって成長します。そのため梅の収穫は早くても梅雨入りをしてからになり、実の成長を見ながら収穫時期を決めていきます。また、「うめしごと」と呼ばれる梅干しや梅酒、梅シロップなどの加工も、この季節に合わせて行われます。
代表的な梅の品種は?
梅の品種は大きく分けて3種類。主に梅干しに使われる「完熟梅」、梅酒などに使われる「青梅」、粒の小さな「小梅」に分けられます。
■南高梅(なんこうばい・なんこううめ)
和歌山県の代表的な品種で、日本で最も有名な完熟梅です。「皮が薄く、種が小さく、果肉がやわらかい」のが特徴で、黄色い実に美しい紅色がさします。完熟した実が自然に落下するのを待って収穫されるため、とても香り高くフルーティーな味わいが楽しめます。梅干しの他、梅酒、梅エキス、梅菓子など、さまざまな加工品に用いられる万能梅です。
■古城(こじろ)
和歌山県で多く栽培されており、青梅の一級品として「青いダイヤ」とも呼ばれています。南高梅よりやや小さくて実が引き締まっており、エキスがたっぷりと抽出されるため梅酒や梅ジュースに加工されます。
■白加賀梅(しろかがうめ・しらかがうめ)
関東地方に多く流通している青梅です。古城と同じくらいの大きさで淡い黄緑色をしています。果肉は繊維が少なく、肉厚で緻密です。主に梅干しや梅酒に加工されます。
■小梅
カリカリ梅用の小粒の梅です。竜峡小梅や甲州小梅などの他、実全体が赤く色付いているパープルクイーンという品種もあります。
主要な栄養素はこちら
梅100gに含まれる主な栄養素は以下の通りです。
・エネルギー 33kcal
・たんぱく質 0.7g
・脂質 0.5g
・炭水化物 7.9g
・ビタミンA(βカロテン当量) 240μg
・ビタミンB1 0.03mg
・ビタミンB2 0.05mg
・ビタミンB6 0.06mg
・カリウム 240mg
・鉄 0.6mg
・食物繊維 2.5g
ミネラルの吸収を助ける「クエン酸」に注目
梅の主成分はクエン酸やリンゴ酸などの有機酸です。他にはβカロテンやビタミンB群、カリウムや鉄などの栄養素がバランスよく含まれています。
■有機酸(クエン酸、リンゴ酸)
クエン酸やリンゴ酸などの有機酸は、不足しがちなカルシウムや鉄などのミネラルの吸収を助ける働きがあります。この働きを「キレート作用」と言います。疲労回復に効果が期待できる他、カルシウムや鉄の吸収を高めて貧血や骨粗鬆症を予防する効果があると言われています。
■βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、活性酸素から身体を守って免疫力を高める効果が期待できます。
■カリウム
カリウムには、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。塩分の摂りすぎやむくみを解消し、血圧を下げる効果が期待できます。
おいしい「梅」の選び方
梅は品種によって選ぶポイントが異なりますが、一般的には果実がふっくらとしていて丸みがあり、果皮に張りがあるものを選ぶようにしましょう。また、表面に傷や斑点がないかも重要なポイントです。
■完熟梅
木成りで熟したものがおすすめです。実がきれいな黄色で大きく、いい香りがするかもポイントです。青梅を追熟させて黄色くなったものよりも香り高く、仕上がりにも差が出ますよ。
■青梅
果肉が固く引き締まっていてきれいな緑色をしており、粒の大きさが揃っているものを選びましょう。
■小梅
カリッと固めの食感に仕上げるために、未熟な青いものを選びましょう。また、常温で置いておくと追熟して黄色くなってくるので、できる限り早めに加工するようにしましょう。
調理で気を付けたいポイントは?
生の梅には有毒な成分が含まれているため、そのまま食べることはできません。必ず加熱するか、アルコール漬けや塩漬けに加工するようにしましょう。また、梅のおいしさや栄養を余すことなく楽しむために、調理で気を付けたいポイントは以下の4つです。
■使う前にアク抜きをする
梅には強いアクがあるので、加工する前に数時間水に漬けてアク抜きをします。小梅や黄色味を帯びた梅は1時間程度、青梅は3〜4時間程度が目安です。また、完熟梅はアクが少ないのであく抜きの必要はありません。
■ヘタを取り除く
梅のヘタには苦味やエグみがあるので、アク抜きをした後に竹串で取り除くようにしましょう。
■用途によって熟し加減を選ぶ
梅は何に加工するかによって、熟し加減を選ぶことが大切です。やわらかい梅干しには黄色く完熟したものを、梅酒や梅シロップにはやや熟成して黄緑色になったものを、カリカリ梅には青くて固いものがおすすめです。
■カルシウムや鉄を含む食品と一緒に食べる
梅に含まれる有機酸には、カルシウムや鉄の吸収を高める効果があります。梅干しと一緒にカルシウムや鉄が多く含まれるイワシを煮るのは、おいしさだけではなくこの働きによります。
梅雨の季節に梅の香りを楽しもう!
今回は、梅に含まれる栄養素や、正しい食べ方、新鮮な梅の選び方についてご紹介しました。梅の旬は5月〜6月ととても短く、すぐに終わってしまいます。今年こそ梅干しや梅酒作りに挑戦してみたいという方は、旬の季節に必ず新鮮で香り高いものを選ぶようにしてくださいね。
クラシルでは、梅の保存方法についてもご紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。