保存食として常備しておくと便利な乾物。その一つに「凍り豆腐」があります。この記事では、凍り豆腐の特徴や歴史、作り方のほか、読み方の似ている高野豆腐と凍み豆腐との違いも解説します。記事の後半では、凍り豆腐を使ったおかずやスイーツのおすすめレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
凍り豆腐とは?味や特徴、高野豆腐との違いについても解説!
- 目次
- 凍り豆腐とは?
- 高野豆腐と凍み豆腐の違いは?
- 高野豆腐
- 凍み豆腐
- 凍り豆腐はどうやって作られているの?
- 高野豆腐の保存方法は?
- 凍り豆腐を使ったおすすめレシピをご紹介!
- おせちやおもてなしに 野菜の炊き合わせ
凍り豆腐とは?
「凍り豆腐」とは、豆腐を凍らせてから乾かしたもの。古くから保存に便利な乾物として親しまれてきた食品の一つで、水に戻す前の状態ではカラッとしていてかたい感触ですが、水を吸わせるとスポンジのようにやわらかくなります。煮物などの料理によく使われ、煮汁を吸うとジュワッとした食感でとってもおいしいんですよ。
よく似ている名前の「高野豆腐」や「凍み豆腐」とはどう違うの?と思った方もいるかもしれませんが、実は凍り豆腐はこれらの総称なのです。地域によってはほかの呼び方をするところもありますが、戦後、農林水産省の凍豆腐品質表示基準によって「正式名称を凍り豆腐と統一する」と定められました。高野豆腐と凍み豆腐の違いについては、このあと詳しく解説します。
高野豆腐と凍み豆腐の違いは?
凍り豆腐は地域によって違う呼び方で親しまれています。なかでもよく知られているのが先ほどもご紹介した「高野豆腐」と「凍み豆腐」です。由来などにも違いがあるので、以下でそれぞれ確認してみましょう。
高野豆腐
高野豆腐が作られるようになったのは、約800年前の鎌倉時代。初めは高野山の僧侶が食事で食べ切れなかった豆腐を外に出しておいたら寒さで凍ってしまい、それを食べてみたらおもしろい食感になっていたという出来事がきっかけだったそうです。ただ、これには諸説あり、弘法大師が中国から持ち帰ったという説もあります。
高野豆腐の名前の由来はもちろん「高野山」。現在も、高野山を中心とした関西圏では主に高野豆腐と呼ばれています。
高野豆腐の作り方はその後改良され、凍った豆腐を水で溶かしてから、乾燥させるようになりました。江戸時代には高野山の土産物として、また貴重なたんぱく源として次第に全国へ広まっていったのだそうです。
凍み豆腐
凍み豆腐の始まりも高野豆腐と同じく鎌倉時代と言われており、信州や東北地方の農村地帯で作られました。高野豆腐と同じように、初めは「一夜凍り」という一晩凍らせたものを食べていましたが、室町時代から安土桃山時代には、豆腐を作って吊るしておくことで自然に乾燥することがわかったため、保存食とするようになったようです。
甲州を治めていた武田信玄も、凍み豆腐を兵糧としていたといわれているんですよ!
凍り豆腐はどうやって作られているの?
凍り豆腐は、冬の寒さが厳しい地域で、かために作った豆腐を夜の冷気にさらし、凍らせて作っていました。現在では製造工程が機械化され、冷凍技術の発展などもあり、品質にムラのない安定した凍り豆腐が作れるようになりました。以下で、高野豆腐の製造方法の一例を見てみましょう。
まず、原料となる大豆を精選、洗浄し、数時間水に浸けて吸水させます。やわらかくなった大豆を加熱して濾すことで、固形成分と液状成分に分けます。この固形成分が「おから」、液状成分が「豆乳」です。
そして、高野豆腐に使うのはこの豆乳のみ。豆乳に凝固剤を加えて固め、さらに圧力をかけてかたい豆腐を作ります。そのあと冷却、冷凍され氷点下で約3週間熟成させるのだそうです。この工程が、高野豆腐の特有の噛みごたえを生み出すポイントなのだとか!熟成が終わったら水をかけて解凍し、乾燥室に入れて乾燥させたら完成です。
高野豆腐の保存方法は?
上記でご紹介したように、凍り豆腐はさまざまな工程を経て作られています。スーパーなどでも気軽に購入できるありがたい食材ですが、どのように保存したらよいのか気になりますよね。凍り豆腐は保存性の高い乾物ですが、開封前には賞味期限をチェックし、適切な保存方法を守る必要があります。
まず、光や高温によって劣化しやすいので、冷暗所で保存しましょう。開封後は空気に触れることでも劣化したり、ほかの食品の臭いが移ることもあるので、密閉できる容器や袋に入れ冷蔵庫で保存するのがおすすめですよ。また、開封後はできるだけ早く食べ切るようにしましょう。
凍り豆腐を使ったおすすめレシピをご紹介!
ここからは、凍り豆腐(高野豆腐)を使ったおかずやスイーツのおすすめレシピをご紹介します。定番の煮物はもちろん、すりおろしたり揚げたりとさまざまな調理方法で凍り豆腐をお楽しみいただけるレシピをピックアップしています。ぜひチェックしてみてくださいね。
おせちやおもてなしに 野菜の炊き合わせ
だし汁を吸ったジューシーな高野豆腐が絶品!野菜の炊き合わせをご紹介します。濃い味わいや薄い味わい、野菜の色を活かした味わい、3種類の味つけを楽しめる、とても華やかで食べごたえのある盛り合わせです。少し手間はかかりますが、おせちやおもてなしにも喜ばれること間違いなし!ぜひチャレンジしてみてくださいね。
高野豆腐のハムカツ
高野豆腐を使って、揚げないハムカツを作ってみましょう。味を染み込ませた高野豆腐に切り込みを入れてチーズとハムを入れ、衣の代わりにマヨネーズを塗って粉チーズをまぶし、オーブントースターで焼きました。だし汁が染みこんだ高野豆腐に、香ばしく焼けた粉チーズがよく合い、とってもおいしいですよ。
高野豆腐グラタン
高野豆腐は洋食メニューのグラタンにもぴったりの食材です。豆乳や生クリームを使ったホワイトソースがよく染みこみ、いつもとひと味違ったグラタンを楽しめます。このレシピのホワイトソースは小麦粉を使わないのでさらっとしていますが、これが高野豆腐にしっかりと染み込むポイントです!簡単に作れるので、ぜひ試してみてくださいね。
高野豆腐でかさ増し 和風ハンバーグ
食べごたえ抜群の和風ハンバーグはいかがでしょうか。高野豆腐をすりおろして、肉だねに加えました。かさましになるうえ、高野豆腐が肉汁を吸ってジューシーに仕上がりますよ。今回は牛ひき肉を使いましたが、お好みで牛豚合びき肉でもおいしくお作りいただけます。ぜひレパートリーに加えてみてくださいね。
高野豆腐のみたらし餡
おやつにもおかずにもうれしい、高野豆腐のみたらし餡を作ってみましょう。水で戻した高野豆腐に片栗粉をまぶして揚げ、みたらし餡をかけました。表面のサクッとした食感と、内側のむっちりとした特有の噛みごたえがおいしく、クセになるおいしさですよ!
高野豆腐でふんわりミニフレンチトースト風
パンの代わりに高野豆腐を使ったフレンチトーストをご紹介します。噛むとジュワッと染み出す卵液と、シナモンやバターの香りが口の中に広がり絶品!いつものフレンチトーストとはまた違った食感を楽しめます。朝食やおやつに、ぜひ作ってみてくださいね。
凍り豆腐を使っていろいろな料理を作ってみよう!
今回は、凍り豆腐の特徴や歴史、種類について解説し、おすすめレシピをご紹介しました。特有の食感とスポンジのようにだし汁などがよく染みこむ性質は、ほかの食品にはないおもしろい特徴でしたね。今回ご紹介したレシピを参考に、凍り豆腐を使った料理にぜひチャレンジしてみてくださいね。