2024.12.23

お屠蘇とは?お正月のいつ飲むの?正式な作法や正しい飲み方、作り方もご紹介

お屠蘇とは?お正月のいつ飲むの?正式な作法や正しい飲み方、作り方もご紹介

お正月に飲む縁起のよいお酒「お屠蘇(おとそ)」。初詣で毎年飲むという方も多いのではないでしょうか。通常の祝い酒とは違い、これからの一年を無病息災で過ごせるように祈りを込めて飲むものなんですよ。今回はそんなお屠蘇の意味や由来、基本的な飲み方など、意外と知らない作法を解説!さらにお屠蘇の作り方もご紹介します。

  • 目次
  • お屠蘇とは
  • お屠蘇という言葉の由来
  • お屠蘇の歴史
  • お屠蘇は何でできているの?
  • お屠蘇の正しい飲み方は?覚えておきたいお屠蘇の作法
  • 飲むタイミングは元旦の午前中
  • 若水で手を清める
  • お屠蘇専用の盃を使う

お屠蘇とは

お屠蘇(おとそ)とは、お正月にこれからの一年の無病息災を祈って飲むお酒のことです。初詣で飲むという方も多いと思いますが、本来、お屠蘇は元旦の午前中、おせちを食べる前に飲むのが正しい飲み方とされています。そんなお屠蘇には一体どのような由来や歴史があるのでしょうか。以下で確認してみましょう。

お屠蘇という言葉の由来

お屠蘇という言葉の由来は諸説あり、地域によっても解釈が異なるようです。お屠蘇の「屠」は日常ではあまり使わない感じですが、悪鬼を葬る、邪気を払うと言った意味があり「ほふる」とも読みます。そして「蘇」には魂を目覚めさせ、蘇らせるという意味があるのだそうです。そのためお屠蘇は「邪気を屠り(払い)、魂を蘇らせる」という意味になる、という説が濃厚なのだとか。

ほかにも地域などによってさまざまな説があるようですが、どれも「悪いものを払ってよいものを招き入れる」という意味が込められています。

お屠蘇の歴史

お屠蘇はもともと中国で飲まれていたもので、日本に伝わってきたのは平安時代とされています。こちらも諸説ありますが、三国時代の名医が災難や厄除けのために考案した薬で、調合した生薬をお酒に漬け込み、それを飲んだことが始まりなのだとか。それが平安時代の宮中に伝わり、年の初めに無病息災を祈ってお屠蘇を飲む儀式が宮中の定番行事となったのだそうです。そして江戸時代になるとこの儀式が庶民の間にも広まっていきました。

お屠蘇は何でできているの?

さて、現在お屠蘇というと日本酒が提供されることが多いと思いますが、先ほど解説したようにお屠蘇はもともと生薬をお避けに漬け込んだ薬草酒、いわゆる薬でした。そのため「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」というのが、お屠蘇の正式名称なのです。

お屠蘇は、5~10種類の生薬を配合した「屠蘇散(とそさん)」を日本酒やみりんに漬け込んで作られます。この屠蘇散に使われる生薬は決められておらず、各メーカーによって異なるのだそう。また日本酒やみりんもそれぞれ異なるので、度数もまちまちですが、だいたい15度前後になることが多いようです。

以下で、一般的にお屠蘇に使われる材料について確認してみましょう。

生薬 読み方 古くから伝わる作用
山椒 サンショウ 消化を助ける、血行を促進する ほか
陳皮 チンピ 胃腸の調子を整える ほか
桂皮・肉桂 ケイヒ・ニッケイ 体を温める、健康維持 ほか
桔梗 キキョウ 喉のケアに使われる ほか
八角 ハッカク 胃腸をサポート、健康維持に使われる ほか
白朮 ビャクジュツ 胃腸の働きを整える ほか
防風 ボウフウ 体調管理、健康維持のために使われる ほか
茴香 ウイキョウ 胃腸をサポート、健康維持に役立つ ほか
甘草 カンゾウ 喉や消化器系のケアに用いられる ほか
山査子 サンザシ 消化を助け、血行を促進するために使われる ほか
丁字 チョウジ 消化をサポートし、腸内環境を整える ほか

生薬は昔から健康維持のために用いられてきた植物です。これらを5〜10種類使用したお屠蘇が健康を願うために飲まれていた理由がわかりますよね。

お屠蘇の正しい飲み方は?覚えておきたいお屠蘇の作法

続いて、お屠蘇を飲むときの正しい作法をご紹介します。先ほど触れたようにお屠蘇の目的は「邪気を払ってこれからの一年間健康で過ごせるように祈る」ことです。そのため、独自の作法が存在します。以下でお屠蘇の正しい飲み方やマナーを確認してみましょう。

飲むタイミングは元旦の午前中

お屠蘇はお正月に飲むというイメージがありますが、「元旦」に飲むのが正しい飲み方とされています。元旦は元日の午前中です。お屠蘇を飲む場合は、おせちやお雑煮を食べる前にいただきましょう。

若水で手を清める

お屠蘇を飲む前には「若水(わかみず)」で手を清めます。この若水というのは、元日の朝に汲んできた、年明け最初の水のことです。手を清めたら神棚や仏壇を拝みましょう。そして、家族が揃ったら新年の挨拶をします。

お屠蘇専用の盃を使う

お屠蘇を飲むときは「屠蘇器(とそき)」という専用の盃を使うのが正式な作法です。屠蘇器は

  • 屠蘇台(とそだい)
  • 盃台(さかずきだい)
  • 盃(さかずき)
  • 銚子(ちょうし)
  • 銚子飾り(ちょうしかざり)

これら5つの道具から成ります。

ちなみに、元旦に使う屠蘇器は朱塗りのものをよく見かけますが、これは朱塗りが高貴な色とされているためなのです。それ以外にも黒塗りや飴色のような色味の溜塗(ためぬり)があります。本来は高貴な色である赤塗りの屠蘇器を使うと縁起がよいといわれていますが、お好みの色の屠蘇器を使っても問題ありません。

現代では屠蘇器があるご家庭はなかなかないと思うので、お正月に向いている酒器を選んでお屠蘇をいただきましょう。

三段重ねの盃で3回に分けて飲む

三段重ねの盃にお屠蘇を注ぎ、1杯ずつ3回に分けて飲みます。これが正式な作法です。ただ、屠蘇器がない場合は1つの盃に3回に分けてお屠蘇を注ぎ入れ、それを3回に分けて飲み干すという略式でもよいのだとか。「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱えながらいただき、無病息災や長寿を願うのが正式な飲み方です。

年少者から年長者へ盃をすすめる

お屠蘇を飲むときは、まず家族全員で東の方角を向きます。そして、最初に飲む人の右側にいる年長者がお屠蘇を注ぎ、年少者から年長者へと順番に飲むのが正式な作法です。この順番にも意味があり、若者の活発なエネルギーを年長者に渡すという意味合いがあるのだそうですよ。

厄年の人は最後に飲む

年齢に関係なく厄年の人は最後に口を付けるのがルールです。 これは「厄年以外の人が厄年の人に厄を払う力を分けてあげる」という意味があります。

未成年や運転する人はNG

お屠蘇は、未成年飲酒禁酒法により雑種の扱いとなるため、未成年者はもちろん、車を運転する予定のある方はお外を飲むことは禁止です。

煮切りみりん
煮切りみりん

ただ、古くから伝わる伝統的な行事であることをしっかりと子どもたちに語り継いでいきたいという気持ちもありますよね。そんなときはアルコールを飛ばしたみりんで作る方法があります。また、お屠蘇を飲まずに、盃を傾けて飲んだふりをするだけでも問題ありません。

ここまでご紹介してきたものがお屠蘇の一般的な作法といわれていますが、地域や各家庭によって差があり、飲み方も異なるようです。飲む順番も年少者からではなく、年長者の英知を若者に分け与えるために先に飲む、という地域もあるんですよ。ほかにも三段重ねの盃については一人で3つ使わず、父、母、子で分けて使ったり、真ん中の盃だけを使って略式で済ませるご家庭も多いようです。

意外と簡単?お屠蘇の作り方

ここまで使われているものや飲み方などを確認してきて難しいイメージを持たれた方も多いかもしれませんが、お屠蘇はとても簡単に作れるんですよ!

日本酒と本みりんを合わせて、そこに屠蘇散を入れて数時間漬け込むだけで完成します。日本酒を多めにするとキリッと辛口に仕上がり、みりんを多めにすると甘口に仕上がるので、お好みの分量で作ってみてくださいね。

※日本酒と本みりんを合わせて300mlで作ることが一般的なようです
※屠蘇散はドラッグストアなどで手に入ります

伝統行事を大切に!お正月にお屠蘇を飲んでみよう

今回は元旦に飲むお酒「お屠蘇」について解説しました。お正月に飲むことは知っていても、正式な飲み方や飲むタイミングなどは知らなかった方も多いのではないでしょうか。ぜひ今回ご紹介した内容をご確認いただき、お正月にお屠蘇を飲んで伝統行事に触れてみてくださいね。

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