最終更新日 2023.3.30

落雁とは?味や特徴、和三盆との違いについて解説!

落雁とは?味や特徴、和三盆との違いについて解説!

食べるより美しい形を見て楽しむ機会が多く、お供え物としての印象が強い「落雁」。見たことはあるけれど、その味や特徴は知らないという方も多いかもしれません。和菓子の中で目立つ存在ではない落雁ですが、実は日本三大銘菓はすべて落雁なんです!この記事では、そんな落雁の意外な事実や特徴、和三盆との違いについてご紹介します。

  • 目次
  • 落雁とは
  • 日本三大銘菓について
  • 落雁に似た干菓子「和三盆」との違い
  • 落雁の豆知識!なぜお供え物には落雁?
  • あらためて落雁や和三盆などの干菓子を食べてみよう

落雁とは

落雁とは、米や麦、豆などの穀類を蒸してから作った粉に砂糖や水あめなどの甘味を加えて着色し、さまざまな形の型に押し固めて乾燥させた干菓子です。それぞれの素材となる粉に甘味を加えただけのシンプルな味わいが特徴のお菓子でもあります。乾燥させて作る干菓子ゆえ、口に入れた瞬間はかたさを感じますが、すぐにホロホロと崩れるように溶けてゆく繊細さを持ち合わせています。日本では、仏事のお供え物に用いられることが多いですが、茶道が広まってからはお茶菓子としても親しまれるようになったようです。

日本三大銘菓について

日本を代表する銘菓とされている和菓子が3つあります。1つ目は、新潟県長岡市にある大和屋の「越乃雪」。2つ目は、石川県金沢市にある森八の「長生殿」。3つ目は、島根県松江市にある風流堂の「山川」。これら3つの銘菓は合わせて「日本三大銘菓」と呼ばれています。

日本三大銘菓すべてに共通するのは、どれも「落雁」であるということ。製造過程で「蒸し」の加熱処理を加えるタイミングによって、落雁ではなく白雪こうと呼ぶこともありますが、どちらも使用する材料は「米やもち米などの粉」と「砂糖」という点では同じであり、このようなシンプルな干菓子が日本では古くから愛されてきたことが三大銘菓を通して伝わってきます。素材の味がダイレクトに伝わるお菓子なだけに、どの銘菓もこだわり抜かれた原材料を使用しており、素朴でありながら凛とした佇まいには心が研ぎ澄まされます。

※『越乃雪』は「株式会社越乃雪本舗大和屋」の登録商標又は商標です。

※『長生殿』は「株式会社森八」の登録商標又は商標です。

※『山川』は「有限会社風流堂」の登録商標又は商標です。

落雁に似た干菓子「和三盆」との違い

さまざまな形が目にも楽しく淡い彩りが美しい、和三盆。サイズも小ぶりなものが多く、上質な甘味を楽しむお茶のお供としてふさわしいお菓子です。ここで言う「和三盆」とは、干菓子の名前。その原料には、四国東部で生産されているサトウキビ「竹糖」から作られるお砂糖の「和三盆」が使われています。日本独自のお砂糖であり、生産地域も限られている希少価値の高い和三盆糖。その和三盆糖を原料に、つなぎを使用せず固めて作られるのが、干菓子の「和三盆」なのです。近年では、つなぎとしてでんぷんや水あめが添加されたものも和三盆と呼ばれていたり、日本三大銘菓である越乃雪や長生殿の材料として和三盆糖が使用されていることなどから、その線引きがあいまいになりつつありますが、どちらも高級干菓子としての地位を確立しており、洗練された上品さを兼ね備えた和菓子となっています。

落雁の豆知識!なぜお供え物には落雁?

ここで、再度落雁の話に戻って気になる疑問を紐解いてみましょう。冒頭でも触れた落雁の印象ですが、落雁はなぜ葬儀やお盆のなどのシーンで定番のお供え物として使われているのでしょうか。

落雁がお供え物とされるようになったきっかけは諸説ありますが、一説では、お釈迦様の弟子であった「目連」という僧侶の行いにあったと言われています。母を救うため、お釈迦様の教えを請うた目連僧侶。多くの僧侶にたくさんの食べ物を振る舞い供養しなさいというお釈迦様の教えに従い、おいしいご馳走などを振る舞いました。このおいしいご馳走には、特に甘いものが好まれたといいます。甘いものが高級品であった時代に、落雁のような砂糖菓子が故人のためにお供えするものとしてふさわしいと考えられたこともあり、落雁がお供え物として使われるようになったのだそうです。

こうした目連僧侶の行いは「百味飮食(ひゃくみおんじき・ひゃくみのおんじき)」と呼ばれ、現在のお盆にも引き継がれています。お盆にたくさんの果物や野菜などをお供えするのは、この百味飲物に由来しているとも言われているんですよ。また砂糖の白色は白装束の色でもあり「純粋なままの魂で旅立つ」という意味を持つため、砂糖を原料とした落雁をお供えして仏様を祀るようになったとも言われています。

あらためて落雁や和三盆などの干菓子を食べてみよう

お供え物のイメージがあり、食べる機会がなかなかない落雁や和三盆などの干菓子。しかし落雁は日本三大銘菓に選ばれていることもあり、日本人としてはぜひ食しておきたい食べ物であることがわかりました。線引があいまいにはなっているものの、落雁と和三盆は原材料も作り方も違う別物なので、それぞれ食べ比べてみるのもおもしろいかもしれません。これを機に、干菓子を見かけた際にはぜひ手に取ってみてくださいね。

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