刺身には、なぜ大根の「つま」が添えられているのでしょうか。別名「あしらい」と呼ばれるつまにはさまざまな役割があり、刺身のおいしさを引き立たせるために欠かせない食材なのです。そこで今回は、つまの役割や意味について徹底解説!その語源や種類などのお役立ち情報をご紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。
刺身の「つま」って何のため?役割や意味について解説!
- 目次
- 刺身の「つま」とは
- つま・けん・薬味の違い
- つま(褄)
- けん(剣)
- 薬味(辛味)
- つまの語源や意味は?
- つまの役割や効果は?
- 盛り付けを華やかにする
刺身の「つま」とは
刺身に添えられている大根の千切りのことを、私たちは「つま」と呼びますよね。しかし、本来これは「あしらい」というもので、切り方や盛り付ける場所によって「つま」「けん」「薬味」の三種類に分けられます。
刺身を食べる文化は古くからありましたが、つまが添えられるようになったのは江戸時代中期以降からと言われています。江戸時代以前、刺身は「煎り酒」という調味料で食べるのが一般的でしたが、江戸時代に入ると庶民の間にしょうゆが普及しはじめました。それをきっかけに、刺身の切り方や盛り付け方が進化したことで、あしらいが添えられるようになったと言われています。
つま・けん・薬味の違い
あしらいの3つの種類「つま」「けん」「薬味」についてそれぞれ違いをチェックしてみましょう!
つま(褄)
つまとは、刺身の横や手前に添えられるものの総称です。代表的なものは大根、大葉、穂紫蘇、パセリ、赤芽などの野菜類をはじめ、ワカメやトサカノリなどの海藻類、菊花や浜防風など季節の花などがあります。
大根のように刺身の下に敷かれるものは「敷きづま」、穂紫蘇のように刺身に立てかけるものは「立てづま」と呼ばれます。
けん(剣)
極千切りにした野菜を、剣のように細く尖った形に盛り付けたものです。大根やきゅうり、にんじん、ミョウガ、ウド、ラディッシュなどが使われることが多く、刺身の横に高さが出るように添えられます。
同じ大根の千切りも、刺身の下に敷くと「敷きづま」、細く尖った形に盛り付けると「大根けん」と呼ばれます。
薬味(辛味)
刺身の臭みを和らげ、おいしさを引き立てるために添えられます。わさびや生姜、ゆず胡椒など、香り高くピリッとした辛味のあるものが多いです。
つまの語源や意味は?
「つま」を漢字で表すと「褄」という漢字があてられます。語源を詳しく見てみましょう。
「褄」は「端」という意味があり、刺身の端に添えられるものを表します。しかし、現代では器の中央につまを置くこともあるので、この漢字が使われることは少ないようです。
つまの役割や効果は?
そもそも、なぜ刺身につまが添えられるようになったのでしょうか。以下で詳しく見てみましょう。
盛り付けを華やかにする
刺身の下につまを敷くと、盛り付けに高さとボリュームが出て見栄えがよくなります。また、ミョウガや菊花など旬のつまを添えると、季節感が出て華やかに仕上げることができます。
口直しになる
刺身を食べたあとにつまを食べると、口のなかをさっぱりとさせてくれます。特に、大葉やミョウガなどの香味野菜は、香りや食感がよいアクセントになって刺身のおいしさを引き立ててくれます。
刺身の鮮度を保つ
刺身は水分の多い食材なので、時間が経つと水気が出て臭みも出てしまいます。大根のつまは水分を吸収する特性があり、刺身の下に敷くと水っぽくなるのを防いで鮮度を保つ効果があるのです。
殺菌作用のため
冷蔵技術が発展していなかった時代、つまや薬味は殺菌のために添えられていたそうです。わさびや辛子に含まれる辛味成分は「アリルイソチオシネアート」という揮発性の物質で、強力な殺菌作用があると言われています。
このように、つまにはさまざまな効果があります。つまは、刺身のおいしさを引き立たせるために欠かせない食材なのですね。
つまは食べるもの?
刺身のつまは、食べてもマナー違反にはなりません。お口直しや殺菌のための添えられているので、おいしくいただきましょう。高級店であるほど、手の込んだつまが添えられていることが多いので、普段とはひと味違うおいしさを楽しむことができますよ。
おうちで食べる場合は、大根のつまにポン酢や和風ドレッシングをかけてサラダ風にアレンジするのもおすすめです。味噌汁の具材に使うこともできますので、今まで捨てていたという方は、ぜひ食べてみてくださいね。
つまは刺身のおいしさを引き立ててくれる
今回は、つまの役割や意味をはじめ、その語源や種類などをご紹介しました。刺身に添えられているつまには、刺身を華やかに見せる、口直しになる、鮮度を保つなどさまざまな役割があります。つまを食べることはマナー違反にはなりませんので、ぜひ季節のあしらいとしておいしくいただいてみてください。