中国山西省発祥の「刀削麺」をご存じですか。小麦粉の塊から特殊な包丁を使って麺を削り出して作る刀削麺は、ラーメンともうどんともひと味違うもちもちの食感が魅力です。この記事では刀削麺の特徴や歴史に加え、うどんやラーメンなどほかの麺との違いについて解説します。ぜひチェックしてみてくださいね。
刀削麺とは?他の麺との違いや特徴を解説!
- 目次
- 刀削麺とは?
- 刀削麺の歴史
- 刀削麺特有の味わいとは?
- 難易度の高い刀削麺
- うどんやラーメンとはどこが違う?
- うどんともラーメンとも違う魅力の刀削麺にチャレンジしてみよう
刀削麺とは?
刀削麺とは中国山西省発祥の麺のこと。刀で削った麺という名前の通り、小麦粉に水を加えて練った生地を塊のまま持ち、専用の刃物で直接鍋の中に麺状に削り出すのが特徴です。刀削麺を作るのに使われる刃物はくの字の形をした包丁で、細長く削り出された麺は細い柳の葉のような形状になります。この麺の形によってラーメンともうどんとも異なる刀削麺特有の食感が生まれるそうです。麺を均等に素早く削り出すのには高い技術が必要で、日本ではまだまだ職人が不足しています。そのため、刀削麺は一般的なラーメンよりも少し高級な場合が多いようです。
日本で広まったのはここ10年ほどですが、中華料理店や専門店を中心に刀削麺を提供するお店が増えてきており、少しずつ身近な存在になりつつあります。
刀削麺にはさまざまな食べ方がありますが、ラーメンのようにスープに入れたり、汁なしでつけ麺にするのが一般的です。スープに浸す場合は麻婆麺や担々麺のような辛い味つけで食べられることが多いようです。一般的なラーメンと比べるとスープの量が少なく、スープパスタのような見た目にも見えます。酸味の効いたトマトソースや豚肉の脂身とニンニクの芽のあんに麺を絡めて食べるなど、さまざまなアレンジが楽しめますよ。
刀削麺の歴史
実は、刀削麺が生まれた背景には当時の歴史的な要素が大きく関係しているんです。刀削麺が生まれたのは中国元王朝の時代と考えられています。
当時の中国ではモンゴル族が元王朝を建てて漢民族を支配していました。漢民族が反乱を起こすことを恐れたモンゴル族は、庶民から武器になりかねない金属器機を取り上げたそうです。そのなかには料理で使う包丁も含まれていました。包丁が不足したために人々は薄い鉄片で刀を自作することに!それを小麦粉の生地を削って麺を作るのに用いたそうです。この調理法が山西で広がり、幾度も改良を重ねて現代の刀削麺になったと伝えられています。
刀削麺特有の味わいとは?
前述の通り、刀削麺を作る際は小麦粉と水をこねて生地を作り棒状の塊に成形したら、くの字型に曲がった専用の刃物を使って削り出します。この刃物で削り出された麺は断面図がひし形、あるいは三角形となり、まるで柳の葉のような形です。このように麺の厚さが均等ではないことから、刀削麺特有の食感が生まれます。分厚い部分はコシがあり表面はねっとりとしていて、中心部はもっちりとした食感です!
一方、麺の端の薄い皮状の部分はワンタンのようなびらびらとした食感が楽しめます。もちもちとした食べごたえと、多彩な食感の違いが刀削麺の大きな魅力。一度味わってみるとこの不思議な食感にやみつきになる人も多いと言われているんですよ。
難易度の高い刀削麺
刀削麺の材料は家庭やお店などによって少しずつ違いますが、基本は薄力粉や強力粉、水のみと大変シンプルです。
すべての材料を混ぜ、よくこねて寝かせたものを、棒状の形に整えます。これを専用の包丁で削ったものが刀削麺となるわけです。沸騰した鍋の前に立ち、麺を細長く削りながら直接鍋の中に落としてゆであげます。
このとき、麺の長さや厚さが均等になるように気をつけつつ、素早く削るのがおいしく作るコツ。厚さがバラバラだったり、作業が遅かったりすると麺のゆで具合にムラが出てしまうのです。
麺を削り出す作業はかなりの体力と熟練の技が必要で、特別な訓練を受けた職人の技術が求められます。ちなみに、刀削麺職人の人材不足を解消するために、刀削麺を削る専用の業務用ロボットも開発されています。日本各地のお店でも活躍中なので、機会があったら見てみてくださいね。
うどんやラーメンとはどこが違う?
作り方が特徴的な刀削麺ですが、うどんやラーメンなどそのほかの麺類とはどのような違いがあるのでしょうか?
刀削麺は小麦粉と水から作られるのに対し、ラーメンは小麦粉にかん水と呼ばれるアルカリ塩水溶液を加えて作られます。ラーメン特有のコシや、黄色がかった色合いはかん水の働きによるものです。スープの味わいが似ているケースが多いことから、ラーメンと混同されがちですが、実際には刀削麺とラーメンでは味わいや見た目がかなり異なります。
一方、うどんは刀削麺と同じく小麦粉と水を使って作られます。見た目も白くて似ていることから、刀削麺は平麺のうどんやきしめんに例えられることも少なくありません。ただし、うどんやきしめんは生地を伸ばしてカットしてからゆであげる製法のため、麺の太さや厚みは均一で、麺は細長く断面は丸く、または平たく仕上がります。この点が断面が三角形になる刀削麺との大きな違いです。刀削麺は分厚い部分と薄い部分があるため、一口ごとに味わいが変化するドラマチックな魅力があります。
刀削麺とほかの麺とのもうひとつの違いは、打ち粉をしないことです。ラーメンやうどんなど多くの麺類は麺の表面に粉をまぶして伸ばします。そのため表面が打ち粉でコーティングされた状態です。それに対して刀削麺は小麦粉の塊を直接削り出してそのままゆでるスタイル。作る過程で打ち粉をしないためコーティングせずに表面を直接ゆでることができます。これによりゆで時間が短くすみ、もちもちの食感に仕上がるんです!また、削りたてをすぐにゆでるため、切りたてのつるりとした断面も楽しむことができます。
うどんともラーメンとも違う魅力の刀削麺にチャレンジしてみよう
いかがでしたか?刀削麺の特徴や歴史に加え、刀削麺とほかの麺類との違いなどについてご紹介しました。うどんやラーメンなどほかの麺類とはひと味違う、刀削麺ならではの魅力があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。一度食べるとやみつきになると言われる刀削麺をぜひ味わってみてくださいね。