初夏になると店頭に並ぶ、オレンジ色が美しい「ビワ」。手でスルスルと皮を剥くことができ、食べると甘く上品な香りが口いっぱいに広がります。露地物は5~6月の限られた期間にしか出回らないため、あまり馴染みのない果物かもしれませんね。
今回は、ビワに含まれる栄養素や、おいしいビワの選び方についてご紹介します。おいしいだけでなく、嬉しい栄養素も含んでいるビワを、ぜひ味わってみてください。
初夏になると店頭に並ぶ、オレンジ色が美しい「ビワ」。手でスルスルと皮を剥くことができ、食べると甘く上品な香りが口いっぱいに広がります。露地物は5~6月の限られた期間にしか出回らないため、あまり馴染みのない果物かもしれませんね。
今回は、ビワに含まれる栄養素や、おいしいビワの選び方についてご紹介します。おいしいだけでなく、嬉しい栄養素も含んでいるビワを、ぜひ味わってみてください。
古来よりビワの木には薬効があることが知られ、三千年前のインドの古い仏典では「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」という名で登場します。葉、実、種の全てが万能薬として利用されてきた歴史があります。
ビワは中国原産のバラ科の常緑高木で、日本では江戸時代から栽培されてきました。露地物の旬は5~6月です。近年はハウス栽培も進み、1月頃にはハウス物の早生種が出回り始めます。
冬に花が咲くため冬季でも温暖な地域での栽培が適しており、日本では千葉より南が主な栽培地になっています。
主な産地は「茂木ビワ」で知られる長崎県と、「房州ビワ」の千葉県です。
■茂木
「西の茂木、東の田中」といわれ、西日本で栽培される代表的な品種です。長崎県茂木地区を中心とし、主に九州で作られています。江戸時代、茂木町に住んでいた女性が、中国商船で持ち込まれたビワの種を自宅の庭にまいたことが、日本のビワ栽培の始まりとされます。果実は約50gと小ぶりですが、甘味が強く酸味は控えめで、皮が剥きやすいのが特徴です。
■田中
千葉県の房州ビワに代表される品種です。明治時代、植物学者の田中氏が長崎で食べたビワの種を持ち帰り、東京の自宅の庭に植えたのが始まりとされます。果実は茂木よりも大きく、甘味と酸味のバランスが良いのが特徴です。
■長崎早生
茂木と極早生種の「本田早生」を交配して作られた品種で、出荷の際は茂木ビワと表記されることもあります。主な産地は長崎県と鹿児島県です。寒さに弱いためハウス栽培されることが多く、露地物より2か月ほど早い、1月ごろから出荷されます。果実は茂木より赤みが強く、ジューシーで甘味があります。
ビワ100gに含まれる主な栄養素は以下の通りです。
・エネルギー 41kcal
・たんぱく質 0.3g
・脂質 0.1g
・炭水化物 10.6g
・食物繊維 1.6g
・カリウム 160mg
・βカロテン 510μg
・βクリプトキサンチン 600μg
・ビタミンB1 0.02mg
・ビタミンB2 0.03mg
ビワの美しいオレンジ色は、カロテノイド色素によるもの。βカロテンとβクリプトキサンチンの2種類が含まれます。他にも、ポリフェノールの一種クロロゲン酸や、カリウムなどのミネラルも含まれます。
■βカロテン
強い抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑え、取り除く働きを持っています。活性酸素は、体内に入ってきた細菌やウイルスを退治する働きがあり、微量であれば人の身体にとって有益です。しかし、過剰になると過酸化脂質をつくり出し、動脈硬化や免疫力の低下などを招くことがあります。 また、体内で必要に応じて皮膚や粘膜を守る働きがあるビタミンAに変換され、喉や鼻などの健康を保つのに役立ちます。
■βクリプトキサンチン
βカロテンと同様に体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。また、骨粗しょう症のリスクを軽減する効果が期待できるとされています。古くなった骨を壊す「骨吸収」を抑制するとともに骨形成を促し、骨密度や骨代謝を改善する作用が報告されています。
■カリウム
カリウムは余分なナトリウムを体外に排出する作用があるため、摂り過ぎた塩分を調節する働きがあります。不足すると脱力感や食欲不振などを引き起こすこともあると言われています。
ビワは繊細で傷みやすい果物。追熟しておいしくなる果物ではありませんので、新鮮なものを購入してすぐに食べるようにしましょう。
新鮮でおいしいビワを選ぶポイントは以下の3つです。
■色味が鮮やかでハリがある
ビワ特有の綺麗なオレンジ色をしていて、表面に傷や茶色く変色した部分が無いもの、果皮にハリのあるもの、ヘタがしっかりしているものを選びましょう。
■産毛が濃い
ビワの表面には産毛が生えていて、この産毛がしっかり生えているかどうかが鮮度の目安になります。産毛が薄くなっていたり、取れていたりするものは鮮度が落ちている可能性が高いので避けましょう。
■表面に白い「ブルーム」がついている
白い粉はブルーム(果粉)と呼ばれ、果実の表面を保護し、乾燥を防ぐ役割があります。完熟した新鮮な果実ほど多いので、おいしさのサインになります。
ビワに含まれる栄養素と、おいしいビワの選び方についてご紹介しました。限られた期間にしか手に取ることができないビワは、季節の訪れを味覚から感じられる果物です。お店で見かけたら、この記事を参考に新鮮なビワを選んで味わってみてくださいね。
クラシルでは、ビワの保存方法についてもご紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。