寿司のネタでも見かける「ミル貝」。実は、ミル貝と呼ばれている貝には「ミルクイ」と「ナミガイ」2種類あるんです!これらはよく似てはいますが、別の種類の生き物なんですよ。この記事では、そんなミル貝の特徴、味わい、おいしい食べ方について解説します。さらにほかの貝との違いもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ミル貝とは?ミルクイとナミガイの特徴やほかの貝との違いについて解説!
- 目次
- 実は2種類ある!ミル貝ってどんな貝?
- 一般的にミル貝と呼ばれている「ミルクイ」
- 生息地と旬
- 味わいと食感
- ミルクイよりお手頃な「ナミガイ」
- ミル貝以外の二枚貝にはどんな種類がある?
- ホッキ貝
- ホタテ
実は2種類ある!ミル貝ってどんな貝?
寿司ネタとしても知られている「ミル貝」。あさりやはまぐりなどと同じ二枚貝です。二枚貝というと貝殻の中に全身をすっぽりと隠しているイメージがありますよね。しかしミル貝はそうではなく、かなり個性的な見た目をしています。ミル貝は水管が大きく発達していて、貝殻の中に引っ込めることができないのです。そのため、貝殻がぴったりと閉じることはなく、常に貝殻が開いて大きな水管が飛び出した状態になっています。
ちなみにミル貝といっても実は2種類あって、それぞれ異なる種類の生き物なんです。このあと、それぞれ解説するのでぜひチェックしてみてくださいね。
一般的にミル貝と呼ばれている「ミルクイ」
一般的にミル貝と呼ばれているのは、和名では「ミルクイ」とも呼ばれる、マルスダレガイ目バカガイ科の貝。「本ミル」や黒っぽい色をしていることから「黒ミル」と呼ばれることもあります。ミルクイのミルというのは漢字で「海松(みる)」と書く海藻のこと。水管に海松がついていることがあり、水管を引っ込めるときに海松を食べているように見えることから「海松食い(みるくい)」という名前がついたそうです。
生息地と旬
ミルクイは、日本全国の海に生息していますが、漁獲量は少なく、アワビより高値がつくほどの超高級食材です。内湾の浅瀬になっているところに生息していて、砂の中に潜って水管だけを出し、水中をただようプランクトンなどを食べています。産卵期は、3月ごろと10月ごろの一年に2回。産卵直前がおいしいといわれているため、1~3月と9~10月が旬の時期となります。
味わいと食感
食用とするのは、主に水管の部分です。コリコリとした歯ごたえがあり、磯の香りや甘みがあるのが特徴です。ミルクイを選ぶときは、水管が大きくて厚みがあるものを選ぶといいそうですよ。
ミルクイよりお手頃な「ナミガイ」
次に、もう一つのミル貝についてご説明します。それが「ナミガイ」です。先ほどご紹介したミルクイは希少価値が高く高価であるため、ミルクイによく似た「ナミガイ」がよく利用されるようになりました。ミルクイが黒っぽいのに対し、ナミガイは白っぽいので「白ミル」とも呼ばれています。ミルクイとは別の種類で、オオノガイ目キヌマトイガイ科の二枚貝。旬の時期は春です。
こちらもとてもおいしく、コリコリとした食感と磯の香り、甘みもあります。ただ、価格はミルクイに比べると手ごろではあるものの、ミルクイの方が味が優れていると感じる方が多いようです。
ミル貝以外の二枚貝にはどんな種類がある?
ミル貝と同じ二枚貝にはほかにもたくさんの種類があります。その中から、人気食材であるホッキ貝とホタテ、ハマグリをピックアップして、ミル貝とどう違うのか、それぞれの特徴をご紹介します。
ホッキ貝
ホッキ貝は、正式には「ウバガイ」という名前で、ミルクイと同じマルスダレガイ目バカガイ科です。北海道や東北地方でよく獲れることから、北に寄った貝という意味で「北寄貝(ほっきがい)」と呼ばれるようになりました。
やわらかい食感で、甘みと旨味が強いのが特徴です。生で食べることもできますが、さっと湯通しすると貝の先の黒ずんだ部分が鮮やかなピンク色に変わり、食感も変化します。お寿司や刺身としてよく知られていますが、ほかにもバター焼きや炊き込みごはん、フライなどに調理して食べてもおいしいんですよ。
ホタテ
ホタテの正式名称は「ホタテガイ」。イタヤガイ科に属する二枚貝で、日本では主に北海道や青森県などの日本海沿岸で養殖が盛んに行われています。ホタテガイの貝殻は扇型をしていますが、2枚のうち片側は白っぽく少し膨らんだ形をしていて、もう片方は紫褐色で平らな形です。海の中では、白っぽい方の貝殻を下側にして過ごしていて、外敵から逃げるときは殻を開閉しながら海水を吹きだすことで泳ぎます。そのため、筋肉である貝柱が大きく発達しているのです。
ホタテはクセが少なく濃厚な甘みがあるのが特徴です。刺身やお寿司など、生で食べるととろけるような食感があります。バター焼きやシーフードカレーもホタテの旨味を引き立たせる料理としておすすめですよ。
ハマグリ
ハマグリは、マルスダレガイ目マルスダレガイ科の二枚貝です。名前の由来には、浜辺に生息していて栗の形に似ていることから「浜栗」と呼ばれたという説や、石を意味する「礫(くり)」がもとになっているという説があります。ひな祭りや結婚式などのお祝いの席でハマグリのお吸い物が食べられるのは、ハマグリは2枚の殻がぴったり重なることから、「夫婦和合」や「良縁」が連想されて縁起がいいからだそうです。
旬の時期は産卵期前で身に栄養を蓄えている2~4月。上品な旨味とふっくらとしたやわらかい食感の身が特徴です。お吸い物にするのはもちろん、酒蒸しやワイン蒸し、ブイヤベースなどの洋風の料理にもよく合います。
ミル貝のおいしい食べ方
ここからは、ミル貝のおいしい食べ方をご紹介します。
まずは、私たちがミル貝をよく見かける場面といえばお寿司や刺身ではないでしょうか。コリコリとした食感と甘みがとってもおいしいですよ。また、先ほどご紹介したホッキ貝やホタテ、ハマグリはバターと相性のいい食材ですが、ミル貝も同じです。バター焼きとして食べるのもおすすめですよ。
ミル貝のみそ汁も、ミル貝の磯の香りを活かすことができてとってもおいしいですよ。ミル貝は主に水管の部分を食べますが、みそ汁ならそれ以外のヒモや内臓、貝柱などの部分を無駄にすることなく使い切ることができます。そのほかにも、天ぷらや煮物、炒め物など、さまざまな料理によく合いますよ。
いろいろな調理方法でミル貝を食べてみよう!
今回は、ミル貝の特徴やおいしい食べ方、ミル貝とほかの貝とに違いについて解説しました。個性的な見た目をしているので自分で調理するのは難しそうと感じる方もいるかもしれませんが、実はバターナイフなどおうちにある道具を使って貝殻を外したり、捌いたりすることもできるんですよ。ぜひ挑戦してみてくださいね。